冷凍ウォッカ イベリコ豚のパテ さばの柚子胡椒煮

僕は仕事が終わって疲れ切った体を

熱く沸かした湯船で溶かしていく

少し熱めの湯船にゆっくりと浸かり

肩の辺りにぷつぷつと汗が浮き出てくるのを確認するのが

楽しみでもある

こうして体から水分が抜けていく過程で

カロリーも消費される

アルコールはそれ自体のカロリーが高い

酒飲みは常にカロリーとの戦いなのだ

なんて思ってゆっくりしていたらのぼせてしまって布団の上で

全裸で横になっている

情けない姿だ

僕は動悸が収まるのを待って

のそりと冷蔵庫へ向かう

そして冷凍庫の入れておいたウォッカの瓶を取り出すと

瓶に霜が降りていくのを満足そうに眺める

いそいそと寝室に戻り、ああ、しまったつまみを忘れたと思った俺は今一度キッチンに戻り

缶詰を二つと割りばしを一つ手に取った

やっと晩酌の準備ができた俺はウォッカの蓋をネジって

そのままラッパ飲みする

スカイウォッカ

アメリカ産のプレミアムウォッカで

クリアな味わいと硬い舌触りが特徴だ

あくまで個人の感想なので

酒に詳しい人はこいつの舌はどうなっているんだなんて思わず

広い心で読んでほしい

そのスカイウォッカをラッパ飲みすると喉に向かってとろりと冷たさが進軍していく

そうして体温で徐々に絆されていく液体は喉元を過ぎる際にかっと熱く変わり僕の目を見開かさせる


うまい

まあ僕は大抵のものならうまいうまいと口に入れるのだが


そうして早速用意したつまみの一つ

イベリコ豚のパテの蓋を開ける


イベリコ豚のパテ、名前は美味そうだが見た目は

すき家で出てくるまぐろの叩きのような

ピンクの固形のペーストだ


そいつを割りばしで削ぎ取るようにつまみ取り

口に運ぶ

イベリコ豚と普通の豚の違いがそもそも分からない僕には

そのクリーミーな味わいと肉肉しい風味だけで十分だった

若干残る臭みをウォッカで洗ってそれを何度か繰り返すうちに

まずはイベリコ豚のパテが無くなった

おれはすぐさまもう一つの缶詰を開ける


さばの柚子胡椒煮

これの見た目はシンプル

魚の缶詰そのものだ


さばの油分が濃厚なのだが

柚子と胡椒の風味によりしつこさを感じない

イベリコ豚のねばった感じまでも消し去ってくれそうだ


二つの缶詰と冷凍ウォッカ

今日のチョイスはかなりよかった

僕はほどなくして眠気に負けて目を瞑る


だがしかし、カッと目を見開き洗面台に移動するとしっかりと歯を磨いてから今一度布団へ戻る


そこですぐに横に慣れないのが僕の弱さだ


名残惜しくウォッカを一口、二口と口に含んで

ようやく眠りにつくのであった


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