5-噂と真実
そのころから少しずつ噂が立つようになっていた。
ただでさえ、その人が学校からいなくなったことで、僕の学校での行動が変わっていて、周囲からは疑問に思われていた。だからこそ、学校だけは休むわけにはいかなかった。周りに確信を与えてしまうから。それだけは避けたかった。だから、耐えて登校していた。
日に日に噂は拡散され「生徒とヤッたから自宅謹慎ってうちの親が言ってた」と言いふらす人も出てきた。
その相手がだれか特定されるのも時間の問題となっていた。もう毎日教室にいるのも耐えがたかった。
本当に体調も悪くなっていき、保健室で休むことにした。まさか、保健の先生からそんな話をされると思わなかったが、この噂を先生たちも信じていたのだ。
「あれはあなたのことじゃないの?」
僕はなにも答える気にもならず、肯定も否定もしなかったら、いつのまにか僕だということになっていて、噂が好きな先生の間では瞬く間に相手は、僕だということになっていたようだ。
そして、ある日登校したものの高熱がでて早退。インフルエンザだった。なんともタイミングがいいというか、悪いというか。正直、学校に行かなくていいのは楽だったが、その分家での追求と重苦しい雰囲気の中での生活だった。でも、この生活の一番の被害者は兄弟たちだと思う。何がおきているのかわからず、でも、ただならぬことが起きてることはわかっていたと思う。そして、数日で体調も快方に向かっていたとき、母と深夜から朝まで話し合ったときがあった。もちろん、僕はあの先生が言ったとおりに答えたから、そのことで追求されたのだ。
そして、ふと母に
「最近太ったんじゃないの?」
と言われた。突然なにをいいだすのかと思ったけど、あの時母はきっと妊娠の心配をしたんだと思う。でも、今思えば本当によくあのとき妊娠しなかったなと思う。毎日、毎日、行為を続けさせられたうえに、避妊したことは一回もなかった。いつ妊娠してもおかしくなかったはずだ。これは神様が助けてくれたと思うしかなかった。
そして、その“先生”は懲戒免職となった。校長のはからいで特定されることがないようにと、学校名や教員の名前、年齢までも伏せるようにしてくれ、必要最低限の公表ですんだ。このとき、校長からは刑事事件にするかどうか申し入れがあったが、母が断りこのような結果を迎えた。
でも、しっかり報道はされ、モザイクがかかって学校の映像が流され、インターネットニュースにも流れた。明日から学校に行けるのかとものすごく不安だった。案の定次の日から、白い目で見られている気がしていた。気のせいかと思っていたけど、直接聞いてくる人もいたので間違いなかった。
それ以来、周囲の目が気になってしょうがなかった。
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