6-転機


そんなとき、卒業した中学校の校長先生から学校にくるように呼ばれ、母と向かった。この件に関してのことだと思って、誰にどこまで伝わって、なにを言われるのだろうと思い、ビクビクしながら向かっていた。


中学に到着し、校長室で待っていると、もう一人女性が入ってきた。その方からの打診だった。高校に新しく女子サッカー部創設するのでこないかというものだった。でも、そこは県外だったので寮生活になることなどを説明され、突然の話だったのでその日は持ち帰り、後日返事をすることにした。突然家を出ることや、転校や、勉強など不安なことはたくさんあったけど、正直この環境にいるよりは、遥かに前向きに頑張れるきっかけになるかもしれないと思った。母も転校することには前向きだった。願ってもないチャンスだった。サッカーのことだけを考えても、現状維持より転校だった。


学校で担任にその話をせざるを得なかったのでしたところ、「いっそのこと一家転住したらどうだ。」と言われた。まさか、担任にそんなこと言われると思わなかった。なんて無責任な一言なんだろうと、笑って流した。

そして、僕は転校することを決意した。


この1年間は失望しかなかった。そして僕が憧れていた教員という仕事はなんなのだろうと思った。教員という立場を利用する人、生徒の気持ちを考えずに噂する人、無責任な発言で失望させる人。教員ってこういうもの?という疑問しかなかった。それでも、教員になるのが夢であることには変わりなかった。嫌な思いも大きいけど、それでもこれまで出会った先生たちとの、大切な思い出のほうが大きかった。


だから、心機一転、新天地で頑張ることにした。

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