第1章はじめての彼女ができるまで第6話 部活での青春はあきらめた。

私は公立高校に入学した。



特に理由もなく、自分の学力でいける一番レベルの高い学校を選んだ。


私が通う事になった高校は、敷地内に2つの高校があり、両校合わせて1学年に1000人以上いる大きな学校だった。


クラスには40名。

男女の比率が特殊で、男子12人女子28人と女子が男子の倍以上いるクラスだった。


中学時代は、高校ってところは全体的に浮かれていて、入学しただけで自動的に彼女が出来る環境なのだと信じていたが、それよりもまず男子の団結を高めないと自分の立場すら危うそうだ。



さて、部活動はどうしようか?


またテニスをやるつもりでいたが、仮入部に行った際に新一年をまとめていた先輩があまりにもヘタクソだったため、興が削がれてそれ以来行っていない。


部活での青春はあきらめた。



よし!せっかく高校生になったのだからバイトをしよう!お金を稼ごう!お金が大好きッ!!


と、意気込んですぐにファミレスのバイトの面接に行き、合格をもらったが630円の時給が気に入らずその日に辞めた。


次に、デパートのデリカという部門でバイト募集があり、800円の時給に惹かれ内容もわからず即応募→即採用→即現場に立って、デリカというのがオカズ全般とパンや御菓子を取り扱う部署だと知った。


なんせ高校生。

何もしなくても腹が減る年齢だ。

私自身かなりガリガリではあるが、バスケットボールの半分くらいのオムライス定食をペロリと平らげる胃袋だったので、食品に囲まれたバイトは天国だった。


それに、私以外は高校生はおらず皆大学生か母世代の人達とチーフと呼ばれる30代の男性が2名だけなので、大人の世界に入った感じがして気分が良かった。


バイトの内容は、

寿司を握る。

焼き鳥、鰻、餃子を焼く。

天ぷら、トンカツ、カラアゲを揚げる。

焼豚をタレで煮込む。

パッケージして陳列する。

パンやお菓子を並べる。

半額などの値引きシールを貼る。

マイクパフォーマンスで太巻きを2本で680円で売る。

すべての料理の試食を充分に入念に行う。


といった感じで、流通、素材の仕込みからキャッチ、パフォーマンス、セールスの仕方、値引きシールに群がる主婦たちの人間心理と巧みな戦術などなど、勉強になるし腹もふくれる良いバイトであった。


バイトを始めて1ヶ月経ち、支給された初任給に慄いた。


時給800円×5時間×週4×4週間=64000円、!


お年玉をゆうに超える金額が私のものに、!!


しかも、、これが毎月だと!?


当時まだお小遣い制(3000円)だった私にとってそれは大事件であり、金銭を稼ぐことにのめり込むキッカケとなった。


大金を所持していることを悟られるのを防ぐためと、家族からの心証を良くするために親からのお小遣いを翌月から停止させた。



浮かれていた私にバイトの先輩らが歓迎会を開いてくれた。場所は駅前の養老の瀧だった。


バイト仲間は皆大学生のお兄さんお姉さん。


歓迎会の参加者は、美男3人、美女3人、シュール系芸人男1人、粘着青髭下痢男1人、小太りオタ中わけメガネ男1人、と私の9名だった。


私は一回の食事で1000円以上使うのも生まれて初めてだったし、当然、アルコールなど飲んだことも無く、何を飲んだらよいかもわからず、大人っぽい大学生の美人さんに囲まれて勧められるままに目の前のドリンクを飲んで騒いで大いに楽しんでトイレに駆け込んだまま還らぬ人となった。


新しい世界の発見に、私は胸を躍らせて胃液を逆流させていた。


15の夜。

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