第14話 「最強の二人」の実現

「ライド、雑魚の一翼ども、どこでもいい。叩け」

「人並みにのまれないでよ? レフト」

売り言葉に買い言葉並みに二人の間で飛び交う号令。


百ほどもいる不気味なものたちを、なし、かわし、叩きのめす。

少し、肩やほほが当たったとしても気にもめない。


一方、レフトは力仕事がメインではない。

持ち前の加速の技術でって最短距離を駆け抜け、狙うは大将首と言ったところだ。


「せやっ、ハッ!」

二人のほかに戦う者の覇気はきじる。


「……目標地点からだ」

視界の隅で鈍く光る刃は、たしかに前方で戦う者の光だ。

また一人、戦闘不能に落としてから思考を続ける。

「レフトがこんなに早く? ……いや、違う」


身軽な姿をした大剣使いは、レフトとは全くの別人。

「すごいな」

独特な持ち方に変えたりして、その人は大剣を振るう。

大剣を手足のように力強く振り回し、一定の範囲に敵が入り込めていない。


対する相手の邪気もなかなかのもの。

遠くからでもわかる、その眼光の鋭さと異端さ。

特にその、右側をおおっている固そうな仮面を。

「あいつが指示系統で間違いないようだな」

ただ、敵の背後はさらに人が詰め、例えれば大岩の壁。


「……あれを外す以外方法がなさそうだね」

大剣の聖者をよけ、敵を一、二層づつはがして回るが、異端者に近づけない。

正確には、敵の練度が高い者が集まっている。


岩壁について言えば、ほかの雑魚モノとは比べようもない団結を見せている。


「〈スター〉の死傷者が多すぎるぞ。ここで頭を倒さないと止められなくなる」

数秒、レフトが並走する。

挟み撃ちが無理ならば、力を合わせるほかはないだろう。


「合理的だね。さらに一人加えるのはどう?」

僕は、大剣で襲撃者しゅうげきしゃ牽制けんせいし続ける人物を示して言ったつもりだ。


一瞬、戸惑いもあったようだがレフトは言ってのける。

「ふ、臨機応変でいいじゃんか!」


二人が力を合わせたとき、止められるものは存在しない。

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