第13話 ロペロ村襲撃事件

「ひよっこは待ってろ!足手まといだ」

叫ぶ声に声をかける。

「ロペロ村に連れて行ってください」

男は僕たちの旅装束から覗く武器を一瞥して言う。


「俺の愛車で全速力で行く。早く乗れ」

大型のバイクのような乗り物のエンジンをふかす。


「準備できました!」

二人で叫ぶと、エンジン音の中で男が答えた。

「掴まってろ!」

耳をつんざく轟音が風の音に変わる。



運搬用の直線道を北北東に向かって突っ切っていく。

後ろを向けば落ちてしまいそうだ。

加速が落ち着いてから、前方を覗いてみた。


煙が巻いているが、見えないことはない。

「あれか……」

木がまばらになり、がれきが増えていく。その先には閃光が散っている。


冷静な大声が流れてきた。

「タイミングを見て降りろっ!!」


速度が落ちていく。しかし閃光は近づく。

「ライド先に行け」

「うん」


瞬間的に膝に力を入れ、後ろへ跳ぶ。

受け身をとって転がった後で状況が見えてきた。


焦げた建物、鋭い破片。

動かない人と、武器を持って立つ人。


向こう側には不気味な武装をした者がいる。

剣戟けんげき閃光せんこうり出していた人物がこちら側に撤退てったいしてくる。


追撃をかけようとする相手を、撤退した人物と似たような恰好をした人が相手取ってはじく。

撤退した人物に包帯をまく人がいる。この人に話しかけよう。


「攻撃してきたのはあの人たちですね? 三人加勢します」

素早く振り向いた男は言う。

「ありがたいが、一般人に死傷者は出せない! 逃げてくれ」

声とその顔に既視感を覚えるが、自分とライバルが来たからには退けない。


僕は剣を抜いて言い放つ。

「傷だらけじゃないですか!」

後ろと横からあとの二人も駆けてきた。


後ろのレフトを見ると、すでに細めの刀を抜いている。


「対手配犯並みの班編成…これだけのスターがいてまだ倒せないのか」

追いついてきたローは大剣を肩に担いで言った。

「区画長〈スターキッド〉を探さなくちゃな…敵はできればここで葬りたい」


僕とレフトは目くばせをして飛び出す。

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