第15回 アノニマスに命を狙われる人続出!

 みなさん、コミケお疲れ様でした!

 こちらは仕事で心身疲労してしまい、家でゴロゴロしておりました。

 うん、行きたかった……。

 今回の内容は、旬ではないですが一時ニュースで話題になった「アノニマス」に関する事です。

 これも結構言ってくる人多かったですよぉ。正直スタッフと笑ってた位に。

 皆さんも絶対に、こんな人にならないでください。

 今や、自分で情報の正誤も判断しないといけない時代なのですから。


-----------------------------------

 とあるサラリーマン風の男性が、何やら焦った感じで来店されました。


「いらっしゃいませ、本日のご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 私はいつも通りに接客をすると、異様に距離を詰めて食い入るように話しかけてきます。


「ちょっと大声では話せない事なんだ。他のスタッフに聞こえない場所はないか?」


「いえ、そのような場所はないので、一番入口に遠いカウンターなら大丈夫ですが……」


「ならそこでいい、早くしてくれたまえ」


 また離婚とかそんな感じなんだろうかと、心の中で溜息をつきながら誘導して詳細を聞いてみました。


「私はとある会社の責任者なのだが、アノニマスに命を狙われているんだ」


「…………は?」


 アノニマス……?

 あのアノニマスだよな?

 何でこんないかにも万年課長(失礼)みたいな人を狙うんだ?

 というか、あの集団はクラッキングメインだったはず、命狙うような過激行動取っていたか?

 こんな感じで頭の中で正しい情報を引き出そうとしていましたが、お客様の口は止まりません。


「事実、私の携帯に彼等から殺害予告が来ていて、頻繁に攻撃を受けている! ここでそれらを完全にシャットアウトできないか見てほしい」


 シャットアウトできる訳がありません。

 まぁとりあえずメール内容を見てみようじゃないかと、お客様にお願いをしましたが、何故か渋ります。

 何故渋る?


「メール内容を見せていただかないと、私共でも対応出来るものかどうか判別つかないですよ?」


「しかし、この中には会社の極秘情報が含まれている。そう簡単に見せられない」


「では申し訳御座いませんが、ご相談にお答え出来かねてしまいます」


「……むぅ、仕方ない」


 そういってようやくメール内容を見せていただけました。

 うろ覚えですが、下のようなメールでした。


『件名:、警、告、


 有効期限が間近に迫っています、、、

 早くしてくれないと請求が発生するます。

 ご希望の方は、下のurlを押してください、、、


 URL:○○○○                   』



















 迷惑メールだよ、ただの!!!!

 本っっっっっっ当に、ただのありふれた平和的な迷惑メールだよ!!!!!!

 アノニマスの「ア」の字も感じられない、あの不自然な文章の迷惑メールだよ!!!!!!!!!!!

 これでどうやってアノニマスからの脅迫メールだと判断できたのか、正直小一時間問い詰めたいです。

 むしろ、こんな頭がお花畑な人を、何故責任者に添えているのか、その会社のトップの人に問い詰めたいレベルです。

 とりあえず、この人をどうやって追い払おうか考えましたが、ストレートに言うしかないので言いました。


「これ、ただの迷惑メールです」


「そんなの嘘っぱちに決まっているだろうが!!!!」


 机をドンっと叩き、店の空気が震えんばかりの大声。

 私どころか、店にいたお客様やスタッフ全員がびっくりし、子供は泣いてしまいます。


「いいか、私を誰だと思っているんだ! 私は重要な役職にいるんだ。だからアノニマスに命を狙われているんだぞ!!」


「あの、アノニマスはそんな過激な行動をしないですよ? やったとしても御社のシステムをクラッキングで攻撃を仕掛けるとかですから」


「く、くら? 貴様、そんなマイナーな用語を使って、私を馬鹿にしているのか!?」


 えぇ、マイナーなのかなぁ……。

 コンピューター詳しくない人にとってはマイナーかなぁ。

 うん、もうちょっと砕こう。


「失礼しました。御社のパソコンとかに侵入して、プログラムで攻撃します。そうすると、通常業務が出来なくなったりデータを抜かれたりするんです」


「そんなの知っている、やはり馬鹿にしているだろう!!」


 知ってるんかい!!

 とにかく、お帰り頂くしかないので、何とかして帰っていただくよう説明しました。

 まず当店では迷惑メールフィルターの設定以外出来ない旨、そしてアノニマス対策はしていないので警察に行ってほしい旨を伝えました。


 ――30分かけて。


 お客様はサービスが悪すぎるから、他社に乗り換えるという事でかなり怒った様子で退店しました。

 あの方は、今後他のキャリアでも苦労するでしょうね。






 っていうか、責任者様。

 16時なんですけど、一時間も当店で時間をつぶしてもよかったのでしょうか?

 会社に怒られていないでしょうか?

 そちらの方が心配です。


-----------------------------------


 はい、嘘のようで本当の話でした。

 これ、本当にマジです。

 覚えている限りで4名のお客様から相談を受けましたし、他のスタッフも同様に相談を受けていたようです。

 それ程アノニマスという単語が、お客様の中でも話題になったのではないでしょうか。

 

 さて、総括です。

 アノニマスは命を狙う等の過激な行動は出さない集団です。

 あくまでクラッキングによるサイバー攻撃を主軸としているので、嘘であったとしても「携帯が彼らにクラッキングされた」と言われた方がまだ信じたでしょうね。

 とりあえず、相手にされませんから、もし相手にされたいのであれば携帯を買って、どうぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今のスマホ業界は、売り手買い手共に終わってる ふぁいぶ @faibu_gamer

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ