Birthday partyって大体仲良い奴らで完結してる

 さて、コンビニへと強制的に行かされることになった今日、17歳になった俺、小遊戯 優音であったが、、、


 なんだろう。とりあえず愚痴っていいだろうか?


 まずは一つ目だ。大前提としてこの会は俺のbirthdaypartyのはずだ。その主賓しゅひんに買い物に行かせること自体が倫理的に異議を唱えなければならないところであろう。


 そして二つ目だ。百歩譲って右ななめ45度くらいにもう百歩譲ったことにしても、隣町の歩いて往復一時間はかかるコンビニを指定するとは嫌がらせがわかりやすくてツッコミどころに困ってしまう。期間限定スイーツが欲しかったのでは?と考えるコンビニスイーツ愛好家の皆様もいらっしゃるのではないだろうか。いや、それでもそこまで遠いコンビニに他人を赴かせるのはどうかと思うが今、俺が頭にきているのはそこではない!千尋が何を頼んだと思う!?◯ッチンプリンだぞ!?販売51億個でギネス認定されたあの、◯ッチンプリンだ!その後にそのコンビニでしか売ってない期間限定スイーツを付け足しやがった。こいつらはプッチンプリンと俺への嫌がらせがなされればそれでいいのと思っているところを隠さないところがアタマクル。


 これで最後、三つ目の不満だ。、、、っとその前にコンビニに着いたようだ。三つ目は隣のバカと会話をしながらの方が何かと怒りに身を任せられる。


 まずはこれをお聞き頂こう。


 「えーっと、ポテトチップスとジュースと◯ッチンプリンと…………あっ!アニ」


 もうお分りいただけただろうか。ここで止めた理由は簡単、ここまでなら何だか普通な会話に聞こえるからだ。


 さて、お分かりいただけなかった諸君もまぁ次でわかるのではないだろうか。〝あっ!アニ〟から続きをお聴きいただこう。


 「あっ!アニキ!◯ンドームは箱買いしますよね?ムフフぅ、なんたって今夜はくんずほぐれずのAV顔負け!未成年だけの朝まで5Pでズームイン!ですからねっ♡」


 …………………さっさと買って帰ろ。




 ■ ■ ■ ■ 




 コンビニからの帰り道。


 「、、、あのな柚木。コンビニって場所は俺たち以外にも人様が買い物に来ているってことは多分、わかっているよな?」


 「いいえ!アニキ以外は人だと思っていません従って!アダムとイブですねぇエへへへへへへぇ〜〜」


 「はぁ、アダムとイブって一応性別の概念あるからな」


 知られているようでもしかして知らないうんちくを披露しても、当たり前のように聞きゃしない。


 「それはそうとアニキ。あの転校生のことをどう思いますか?一般的に見ても可愛い方だとは思うのですが」


 「は?何を聞くかと思えばそんなことか」

 

 「別に深い意味はないですよ。興味と期待って所ですよ」


 ああ、やっぱりそんなところか。


 「あのな、のはお前も知っているだろ?」


 からかっているのだと思った。しかし立ち止まり、後ろを振り向いた稀に見る柚木の真っ直ぐな瞳に圧倒され、何も言いだすことができなかった。


 「思えばもう一年ですか。俺と愛木がアニキと千尋知り合って、1年間付き合ったアニキと千尋が別れてから、もう一年です」


 やめてくれ、と言いかけ言葉を飲んだ。同時に首を絞められたような息苦しさに思わず喉を押さえつけた。


 「今だから言いますけど、あの時のアニキの態度は異常でしたよ。瞳からは生気が感じられませんでしたし、なにより、、、」


 顔を歪め、苦しそうに、搾り出すように、噛みしめるように、恐怖に震えるように、軽蔑と憎悪の炎をその目に宿しながら。


 「千尋を見る目が、、、人の目じゃなかったんですよ」


 一年越しに語られた柚木の当時の心境に、ただ、ただ後悔と懺悔の念に駆られていた。あの急速に冷え込んでいく感覚が蘇ってくる。


 「だから、アニキが恋愛しないって理由もわかりますよ。これがお節介なのはわかっています。でも俺はもう一度探してみてほしいです。だから、朝緑あさみどりって転校生がいい刺激になるかな思っただけです」


 柚木は本気で心配してくれているのだろう。それだけ1年前の俺というのは今とは感じさせるものが違っていたのだと思う。


 そこからの柚木はしばらく口を開かなかった。一方の俺は、ずっと足元を見ながら歩いていた。俺への敵意はないものの、今のこいつの顔を見たくなかった。


 家の前に着くと、柚木は立ち止まりこちらを向いた。もうその顔からは先程のような複雑な感情は感じられない。


 「ではアニキ、僕は泊まるつもりないので、ここでおいとましたいと思います」


 「…………じゃあ、なんで買ったんだ?」


 「えへへぇー、 コ レ ハ ♡ いヒィっ、、、ひひひひひっひっひっひっ」


 柚木は気持ち悪いうめき声をあげながら暗闇へと消えていった。


 その後1人で帰宅したのだが、これまたイラつくことに全員寝落ちしていた。

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君がくれたこの気持ちは、きっと〝恋〟というものなのだろう。 茶々 @mstk

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