夜空を駆ける

　今日は、主人公にとって、最悪な日だった。涙は止まらず、化粧はぐずぐず。それでも一人のアパートに帰る。そんな一人暮らしのアパートに、美少年が現れる。しかも、窓枠に座っている。動揺する主人公。そんな主人公の手を取って、彼は主人公を「外」の世界へと誘う。
　
　夜空を駆けて、彼が主人公を誘った先にあるものは――。
　
　人間の心には、誰だってキャパシティがある。それを越えた時には、きっと違う視点で見ることも必要だ。コンクリートの建物の中に閉じこもって、光に照らされているのではなく、その四角い建物の窓から見える光を見るとか。既成概念にとらわれず、透明な風の階段を上るとか。何百光年前に放たれた星の光…続きを読む

　身も心も重くするような、着飾りもいらない、荷物もいらない。
　軽やかな気持ち。
　しなやかな足取り。
　生き急ぐ現代社会の速度から外れた、息切れしないステップのテンポは、実に爽快感溢れるものだ。

　生き物もとい生き方の違いからくる視野、そのスケール感の違いは、見上げる夜空さえ、ときに異なる美しさを映すのかもしれない。
　2本の足で立つ我々では、辿り着けないその場所へ。
　駆ける訪問者の招待。
　そして、その正体。

　さらりと優しく、ちくりと切ない、メルヘンファンタジーでした。

　いらない荷物はおろしてもいいんだよ、全てを抱え続けていくのはしんどいから。
　すっと心が軽くなるお話です。今まで抱えてきたモノをおろす選択もあるのだと思わせてくれます。
　爽やかな夜空へ飛び出した主人公の高揚感、そしてその情景がロマンチックに描かれています。

童話のような優しい感じがしました。
他の皆様も仰られてますが、本当に心が軽くなる物語。

ぜひ読んでいただきたいです。

失恋したヒロインが突然現れた謎の男性と空中散歩。その散歩の中で、彼女は少しずつ、心を解き放していきます。

幻想的な上空の世界にも惹かれましたが、謎の彼の言葉にはとても心を揺さぶられました。

＞これからの自分に役立たない苦しみを抱えるほど、僕の容量は大きくないからさ

辛いときに読み返して、心を空に飛ばしたくなる物語です。

良い日もあれば悪い日もある、生きていれば当たり前のことだけど、その悪い日の出来事がとびっきり悲しかったりしたら、やっぱりすっごく落ち込んで、なかなか浮上するのは難しかったりすると思うんです。

しかしこちらの物語は、そんな沈んだ心への特効薬として、私たちを優しく慰めてくれる温かさに溢れています。

どんな理由で落ち込んでいても、心にスッと沁みてくる言葉たち。
目の前に描き出される美しい夜空に、私まで星の中を駆けた気分になりました。

何か上手くいかないな、そんな日の夜読んでみてください。
きっと明日の朝、少し元気になれるはずです。

今日ため息をついてしまった方。
疲れたなーと思っている方。

本作を読んでみて下さい。
できれば夜に。
できれば表題のジャズを聴きながら。
お好きなお茶でもカクテルでも用意して。

すーっと心に染み入って、
ふわっと心が軽くなる物語です。

夢見るファンタジーをあなたにも。

ヒナは、失恋した日、不思議な黒い少年に出逢う。
彼が導いてくれるのは、ふわふわした輝く綿みたいな雲の上。

彼の言葉は、失恋の痛みや過去のトラウマを優しく包み込んで取り去ってくれる、優しい言葉だ。
『恋の話』だが、そればかりでない、人生の歩き方みたいなものを教えてくれる。

詩的な美しい情景が脳裏に浮かぶ、現代人の疲れた心に優しい物語(^ω^)

キラキラとした夜の情景が浮かぶようなロマンチックな短編でした。
素敵な夜の魔法に惹き込まれます。

美辞麗句ではない飾らない言葉が美しく紡がれて、心に優しく染み込んできます。
彼がヒナに見せた星空も、彼がヒナにかけた言葉も、きっとすべての人に向けられたもの。
くよくよ落ち込んだときには「くろ」の言葉を聞きにこの作品をまた訪れようと思いました。