第二十九話 佐太夫の六文銭
醜い顔を、さらに醜い顔にした
幸義はイライラの極地のような顔をして「ププ。そんなこと、どうでもいい!!。なに六文銭かいてんだよ。縁起悪すぎでしょ。」とジタバタと怒りの舞を披露していた。その舞は本当に醜い舞だった。
しかし、佐太夫の次の「よし!!これで、この世に未練がなくなった。」という発言により、なぜか幸義はスッテンコロリンと転んだ。
幸義は巨体を揺らして再びノシット立ち上がると「貴様、何言ってんの???」と目を丸くした。彼の体型と一緒。
佐太夫は続けて「生きたいって気持ちを捨てて、鬼になれば。この窮地、抜け出せる気がしてさ。こんなこと言ったら背中の
すると、さっきまで呆然としていた幸義の父、
佐太夫は迫真のニッコリ顔をして「逆だよ、棟綱様。こうでもしないと、生き残れねぇだろ。この六文銭は命を賭けて、この戦場で生きて渡り切るって、俺なりの覚悟だ。幸隆も、俺に死なれちゃ困るはずだしな」と勇ましく笑った。
すると、燃える我が城を背に棟綱は「……そのノリ……ワシは好きだの!!ソナタ、ワシの分の布もつくっるの!!」棟綱の顔は勇んでいて、それと同時に笑っていた。
佐太夫は勢いよく六文銭いりの布切れ「はい!!棟綱様!!!」と渡した。
棟綱は頭に、その布を巻くと「気合が入ってきたの!!」と性格に合わない獅子のような雄叫びをあげた。
「俺も!!」
「その布がほしい!!」
「よこせ!!」
佐太夫は、六文銭いりの布を要望があったその場にいた幸義以外の全員に配布した。そして、生き残った海野兵は
天文十年(1541年)五月二十五日。
棟綱は騎馬に跨り、後ろを振り向き「皆の衆。この海野平をぬけて、森へ進めば上野も近いの。」と、真剣な勇ましい顔でいった。
その息子の幸義は震えて「でも、村上の軍隊がいるよ。プププ。生きて、上野へ行ってやる。......怖いけど。」に顔に青白さをまといながら言ったり
棟綱は、再び正面をじっと見ると「皆の衆、準備はいいか?。六文銭を見ろ、きっと地獄の鬼が我らを守ってくれるの。いざ上野まで出撃じゃの!!」と大声を日々効かせた。そして、佐太夫たち生き残った海野の将兵は村上軍へ突っ込んでいったのだ。
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