第十九話 山奥の音
真夜中の
すると、木々の間から一人の女が現れた。トラだ。彼女は「カンカンうるせぇぞ。音が大きすぎてアタイが寝れねぇだろうが。嫉妬の炎とやらでさっさとクタバレ。」と寝ぼけが原因でさらにガラガラ声になった状態で言うのであった。
景持はわら人形を打つのをやめると「丁度いいところに来た!!トラ、俺にアイツらの、幸隆と佐太夫のこらしめ方を教えてくれ。」とトラに勢いよく詰め寄ったのだ。
トラは右手で景持を払いのけると「ねぇよ。それ、幸隆と佐太夫のワラ人形かよ。お前は、どうあがいてもモテねぇから安心しろ非モテ野郎。」と景持に非常な言葉を浴びせかけた。
景持はなぜかトラをにらむと「くそぉおおお。嫉妬の炎だ。」と言って、三体目のわら人形を大木に打ち付け始めた。
トラはア然として「アタイの目の前で、アタイのわら人形を打つな!!」と怒った。
すると、突然にどんなワラ人形より怖いことで有名な
トラは強烈に驚き「うわ!!上泉さん。どうしましたか?アタイたちになんかよう!?」と唸り声に似た叫び声をあげた。
その声を聞いた上泉も驚き「ギャァァアアアア」と叫び声をあげた。
影持は笑顔で「落ち着いてください。トラの顔が怖いのは僕も知ってるんで大丈夫です。」と上泉の御機嫌をとる。
上泉は自分を落ち着かせるように「そうかそうだよな。実は箕輪城の見取り図が盗まれちまって...。」と二人に伝言を伝えた。
景持は即座に「......なに。上泉さん、そのことは幸隆たちは知ってるんですか?」と聞くのであった。
すると、上泉は「知らねえはずだーーー。」と返答する。
その返答で、景持の心に火がつき「よし、僕の嫉妬の炎が燃えてきたぞ。絶対に幸隆たちより早く、城の見取り図を見つけてやるよ。」と言った。メラメラしすぎて、まるで闇夜に照らされてるようだった。
その日の朝。上泉はあの二人にも伝言を言いに行った。その二人は箕輪城の庭で日向ぼっこをしてゴロゴロしていた。
その状況の中、上泉は彼らになぜか土下座して「城の見取り図をどうか!!」と頼んでいた。
幸隆はゴロゴロした状態で「メンドくさ」と言うのであった。
上泉はなおも土下座してゴロゴロしてる二人に「そこをどうか!!」と頼んだ。
幸隆はムクっと立ち上がると「城の見取り図か。非モテでヒマな景持なら、きっと見つけられると信じてキョウと遊ぶわ。」と意地悪な目をニコニコさせながらキョウに会いに行こうと歩き出した。
佐太夫も、そのあとすぐ立ち上がると「俺も
上泉は彼らの後ろ姿をマジマジと見つめて「青春しすぎー。俺も景持を信じる!!」と右のコブシを高らかに天に伸ばした。
そして、見取り図は意外な人が隠し持っていることが判明する。
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