第十五話 目を覚ますと
「目を覚ましましたか?」
幸隆の真横で自分を殺そうとした男が不気味に座っていたため「キモ!!ボケ!!チビタヌキ!!」と悪口の羅列を超特急で言ってしまった。
言われた本人は、こんなムスっとした顔は見たことないと思えるほどムスっとして「
幸隆は、寝ぼけが残っていて「あ!?」と歯切れ悪く言う。
すると、チビタヌキはイライラして人相がゆがみにゆがみきった状態で「僕の名前は長野業正です。業正様と呼びなさい!!」と柄にもなく絶叫するのであった。
幸隆は頑張って眠気にうち勝とうとしながら「あ、はい。業正様、なんで俺を殺さなかったんですか?しかも、逃げまし...」と何かを言いかけた。
しかし、業正は幸隆の話が途中にも関わらず「幸隆君。君は血が怖いらしいですね?」と彼に質問を投げかけるのであった。
幸隆は言われ慣れない『幸隆君』という名称に恥ずかしさを覚えて「幸隆君??。なんか、その呼び方イヤだな」とヘラヘラ笑う。
業正は「黙れ!!」と再度絶叫したのだった。
幸隆君もこれには「あ、はい。」とだけ返事をした。
そして、業正はニコやかに笑いながら「僕は幸隆君が気に入りました。僕の塾の生徒になりなさい」と言うと。
幸隆はイヤそうに「......え!?」とニガ笑い。
業正は「......死ね。」と今度は絶叫とはほど遠い小声を放ってきた。
幸隆は思わず息を飲み「......」と、そのときは一言も発さなかった。
そんなときだった、業正は思い出したように「ところで、君の弟は小県から今諏訪にいる。彼らが君たちを送りつけた代償として彼には
すると、自分の弟の不幸を知った幸隆は、その場で何度も飛び跳ねて「しゃぁぁあ!!。あのボケカス童貞、ザマぁぁあああ!!」と嬉しそうに、どんな殺人鬼もドン引くほどかん高い笑い声をあげるのであった。
業正は頭をかかえて「君、やっぱり嫌いです。しばらく寝ててください。」とフスマを開けて、その場をあとにする。。
幸隆は元気一杯に業正を見送るように「はい。業正様!!」と言うのであった。
次の日。幸隆は、また同じ場所で目を覚まして立ち上がると。すぐ横のフスマがガシャンと勢いよく開いた。そこには幸隆が生理的に受け付けない上泉がいた。彼は「いらっしゃーい」と大声で叫んでいた。
幸隆は寒気で体を震わせながら「な!?テメェは?
上泉は顔をニヤつかせながら「アッシの名前は。あ、上泉!!正解!!!」とまたしても、嬉しそうに叫ぶ。
すると、幸隆は「......」正解したことを後悔した顔をした。
そして、なぜそんなに一人で盛り上がってるかはわからないが、大声で「こっちへコーイ!!。アッシが業正様のもとへ幸隆君を案内するぞ!!」と上泉は幸隆を手招きをする。
幸隆は上泉の先導のもと、渡り廊下を歩いていたが「朝から、とんだボケのせいで調子狂いそうだぜ。......生理的に無理だ。」と内心では思っていた。
そして、上泉は突然止まると「着いたさぁ!!」と大声を上げ、目の前にある部屋のフスマを開けた。
フスマが開くと真っ先に
幸隆も嬉しそうに「おう!!佐太夫。」と、佐太夫の肩を叩くのであった。
すると、一人の快活な若い女が幸隆の前に現れて「お前らが新しい塾生か?アタイはトラだ。よろしく!!」と幸隆に挨拶した。
幸隆は、まだ寝ぼけがとれてないのか「ガラガラ声」とボソっと初対面の人には言ってはいけないようなことを言ってしまうのであった。
トラは激怒して「ぶっ殺すぞ!!オラ!!!」と女性とは思えないガラガラな大声をあげて、部屋の隅っこに行ってアグラをかいた。殺気を漂わせながら。
そしたら、もう一人の女が、その流れを断ち切る「......私はキョウです」と自己紹介をした。
それに続くかのように卑屈そうな男が「僕の名前は
そして、最後に部屋の奥の中央に一枚しいてある座布団に座ってる長野業正が「今日から君たちは友であり、競い合う仲です。励んでください。」とニコと笑っていた。
幸隆は、ふと我に返ると「ボケ、なんだこれ!?」と唖然とする。
すると、業正は、満面の笑みで「業正塾開校です!!」と高らかに宣言するのであった。
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