RAINBOW CHASER

「行ってらっしゃいませ、CANDY HEART様、ROXY DOLL様。どうぞお気をつけて!」

例のイケメン・スチュワードが満面の笑みを浮かべて、あたしとROXYをプライベート・ジェットの後部倉庫から送り出した。


って、また突き落とすのかよぅ~~~っトリプルビルの狸親父めーっ!またまた前言撤回!!


これがどこか他の場所の普通のシチュエーションだったなら、きっと素敵だな、なんて心ときめいてしまったりしていたかも知れないわ。だけど、今はそんな余裕は全然ない!全くない!!


あたしは恐怖と緊張と寒さと怒りにガッツリこわばった顔をして、猛烈なスピードで垂直落下している真っ最中なのだ。


そうだ、ROXYは?一緒に突き落とされたROXYはどうしたの?

あたしはキョロキョロ見回した。いた。


って、まだ寝てるしィー!!なんで?なんでこんな極限下で寝てられるのよぅ!?


「コラーッ呑気に寝てないで起きなさーーいっ!!」

あたしは飛行機で貰ったオレンジやら、チョコレートやらを、彼女に向かって投げつけた。そのうちの一つが辛うじて彼女の顔面にヒットした。


「痛いなー!誰やねーん?!」

ようやく目覚めたROXYが叫ぶ。なんで関西弁なの?いやいやそんなことは今はどうでもいい。


「ちょっとォあたし達スカイダイビング中なんだからね!」


「なによ、この程度なら眠ってても降りられるわ」

小憎らしい金持ちのヤンキー娘が、悠然と言ってのける。

きっとそうでしょうとも。起こさなきゃ良かったわ。あたしの怒りパワーのゲージはMAXに跳ね上がった。



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