CONFIDENTIAL TALK

「錬金術!?」

意表を突かれたあたし達は、ふたりして身を乗り出した。

また、随分と涎の出そうな面白いテーマじゃないの!


「実はな、私の家は曾祖父の時代から代々トレジャー・ハンターの家系でな。過去の遺物や業物などの名の知れた蒐集家(コレクター)でもある。」


「う、羨ましい!」

両親には内緒でこそこそ活動している私とは、雲泥の差だわ!


「私の祖父と、会長のお父様とは朋友ですものね。」


「そうだな。それに私と君のお父さんとは、無二の親友であり、欠くことのできないハンター仲間でもあり、そして永遠のライバルでもある。」


ここでなんとROXYまでが、驚きの告白をする。

てっきり何処かの牧場主の娘とかの設定だと、勝手に思い込んでいたあたしにとっては、まさしく青天の霹靂だった。

このコったら、以外と由緒あるトレジャー・ハンターの出自を持っているのね。

一介の映画ファンから一念発起し、立身出世を果たさんとこの業界に身を投じたあたしとしては、血統の差を見せつけられたみたいで、何だかちょっと悔しい。

ううん、凄く悔しいんですけど!!

くっ、負けるもんですか。

お宝探しにご先祖様の肩書きは要らないわ。



『トレジャー・ハンターは職業じゃない。あたしの生き様なんだから!!』



と、ふたりに向かって“心の中で”大声で叫けぶ。


だが無情にも、あたしの悲壮な内なる魂の叫びは捨て置かれ、会長の説明は続けられた。



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