FREEFALL

そして、飛び降りてから気がついた。

これが人生初めてのスカイダイビングである。

あぁ〜なるほど、特攻野郎AチームのMr.Tが、あれほど飛行機嫌いになる訳だわ。


ほとんどリアルタイムに口頭にてパラシュートの使い方をレクチャーされ、パノラマに広がる地上の景色がグングンと真近に迫ってくるこの極限下で、あたしはそんなことを思い浮かべながら、現実逃避していた(涙目)。

でもね、我が身に危険が迫りつつあるそんな時ほど、人間というのはおそろしいパワーを発揮するものなのよね。

強烈な空気圧の負荷を身体全体で受けながら、風切り音が耳元を猛烈にビュービューと吹き抜けていくのを感じていると、いまこの瞬間に勇気を振り絞って立ち向かわないでどうするのよ!っていう、闘志がむくりと湧き上がってきて、この土壇場において肝が据わったの。


わかったわよ、やってやろうじゃないの!

地球上へ自由落下する際の標準重力加速度が9.806 65メートル毎秒毎秒だから、あたしの平均体重◯◯.◯kgを単純比例換算させて、あたしが高度1万2000メートルから垂直落下する際の重力加速度を瞬時に算出する。



今だッ!!

あたしは胸をぐっと大きく張ると、ここぞというタイミングで、引き紐を強く引っ張った。









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