タイトルに惹かれ読んでみました。
いままでと変わらない関係でありたい、そんな淡い期待さえ簡単に塗り替えられてしまう。
そんな現代社会の日常を舞台にした二人の離別は、読んでて悲しくなるとともに、自分にもそんなときがくるのかもしれないと焦燥をかり立てられます。
作者様の卓越した文章力がより一層そんな場面を想起させ、作中のキャラをリアルに生き生きとさせています。
変わり続けない関係なんてない、でも自分から変わることだけはやらない。
相手が変わらなければ、主人公もあんな風に変わる必要はなかったのだと思います。
たとえ変わっても相手を裏切ったりしない、そんな親友ができればいいなと強く思いました。
あと、マルチ商法だとかそういうのは手軽に手を出すべきではないです。しっぺ返しは必ず帰ってくるのです。
グレーゾーンとは言っても、真っ黒にはなれても真っ白にはなれないんですから。
一時の欲に目を曇らせて人生台無しなんて嫌です。主人公みたいに周りからつまらなく見えても自分を見失わない生き方をするのがやっぱり一番いいんだと思います。
本作は著者であるおっぱなさんの優れた筆力・構成力が遺憾なく発揮された、大変素晴らしい物語です。
テーマは重いですが、その本筋は主人公である「私」が、様々な人々と出会う中、成長していく物語です。欲望の果てに淀んでいく人々と、そして「私」の対比が実に見事で、非常にビターな話ですが、とても暖かな印象が強く残る物語になっています。
そして本作は構成・キャラクター描写が非常に見事なので、短編をこれから書きたいと思われる方は、絶対に読んでおくべき作品だと言えます。本作から学べる事は非常に多いでしょう。
最後に、この様な凄い作品を生み出して下さった著者であるおっぱなさんに、心から感謝の意を表したいと思います。
本当に素敵な物語を、ありがとうございます(^▽^)!!
非常に『私』の中にあるやるせなさと葛藤が伝わって来る内容であった。
私にはこういうことをしてくれるような友人すらいないので、遠い話だと感じたのだけど、改めて身近にこんな生き方をしている人がいたらどう感じるだろう、どう考えるだろう、と思わされた。
読んでいる途中でオチは読めた、としたり顔をしたのだが、よく考えてみれば、これはエッセイであり、奇をてらったミステリーではない、と最後まで読んで反省した。ネズミが何であるか、ではなく、ネズミを作者は、読み手は、どう捉えるか、がこの話のメインテーマであり、本当のオチである。
社会的な問題に対する問題定義と、作者様のひとつの回答に、同意できる人もいるかもしれないし、いやいやそれは、と思う人もいるかもしれない。私は、アリ、だとは思った。
社会の中で生きるということは、悪をも許諾することかもしれない。いや、清廉潔白に生きるなんて、ほとんど不可能だろう。ならばこそ、私は友人を失わない道を模索してみたいと思う。