第3話 アンロック

 これはテニスコートから出ようとしたときの話。ボールが外に出ないように普段からドアを閉めているんですが、今日はそのドアに鍵がかかっていまして。鍵といってもひねってスライドしたら開ける式のやつです。だから普通に気づけば中からでも開けられる代物です。


「ちょっと部室に忘れ物したから、取りに行ってくるわ」

「ん、行ってら」


ガチャガチャガチャガチャ


 何がガチャガチャやってるのだろうとドアの方を向けば、内田君。内田君がひたすらドアと格闘しておりました。押したり引いたり、スライドしたり。っていうか内田君、最後のはどう考えてもないでしょ。


「……何やってんの?」

「ん?ああこの扉おかしいんだよ。開かなくてさあ」

さらに力ずくで開けようとします。

「ちょ、ちょっとストーップ!そんなんで開けられるわけないでしょ」

何が何だかわからないといった表情。その表情やめなさい。

「ほら、ここ見て」

そう言って私は鍵のかかってることを指さして教えました。そこでようやく納得したのか

「ああ、なるほど。鍵がかかってたのか」

と、内田君はその鍵を外そうとします。


ガチャガチャガチャガチャ


「……何やってんの?」

「いやあ、この鍵おかしいんだよ。開かなくってさあ」

そう言いながら無理やりこじ開けようとする内山君。もう何回このやり取りやるんだよ。

 仕方なく私がすっと開けてやると、内田君かなり恥ずかしそうに

「し、知ってたし……」

……いや男にやられてもキュンとこないしね?いけないちょっと寒気が。

こうして内田君のアンロック事件は無事解決したのです。


 ―帰ってきたとき―


ガチャガチャガチャガチャ


「あ、開かなくなった!!!」

「なんで!?」

内田君のアンロック事件はしばらく解決できそうにないことを悟りました。

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