寝ている間に野分が過ぎ去る
台風が直撃しました。風の音がびゅんびゅん鳴っています。雨戸も閉めて準備万端、なのですが、大分ガタついてて閉めるのにも苦労したんですよねえ。
テレビの台風情報を信用すれば、今夜がピークっぽいです。雨も風も強い大型台風。小学生のころは大きな台風が来るとむしろ喜んでたりしたんですが。
警報が出て学校が休みにならないかが最大の感心事でしたね。大学は簡単には休講にならないし、そもそも今は夏休みなので台風に来られてもあまり嬉しくありません。
……なんか家自体が軋んでいるような音がします。この家もそこそこ築年数いってますからちょっと心配ですね、割とどうしようもないですけど。一応避難勧告とかは出てないので大丈夫だと信じましょう。
そろそろ日付も変わりますし、風と雨と家の軋みをバックミュージックに眠りにつくとしましょうか。シュトックハウゼンのヘリコプターの曲よりはリラックスして眠れるでしょう。長い4分33秒の始まりです。
目を閉じます。叩きつける雨音、がらんごろんと何かが吹き飛ばされる音、雨戸がガタガタ震える音……。それらがまどろみの中に溶けてゆきました。
秒を刻む時計の音が、静かな喧噪の中で不思議と耳につきます。やがてそれも遠くなっていきました。
朝になりました。風雨はすっかり止んでいるようです。小鳥たちの鳴き声が小さく聞こえます。
雨戸を閉めた部屋は薄暗く、ちょっと気が滅入りそう。さっさと身支度を整えて、雨戸を開け放ちに行きましょうか。
ガタつく雨戸と格闘して窓を開けます。明るい陽射しとまだ残る雨の匂い。台風一過の青空が、素敵に私を迎えてくれます。
どこかから子供たちの声が聞こえてきます。ピークが夜中だったせいで、一日も学校が休みにならなかったことに対する不満の声かもしれませんね。
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