姫様、本当に申し訳ございませんでした。女王様はとても怖いお方です。気に入らない物は何でも切り捨てます。人も例外ではありません。私は命令に逆らうことが出来ませんでした。でも誰かに止めていただきたかった。


だから、あの方に申し上げたのです。姫様を助けて欲しい、と。見ず知らずの方なのに何とかしてくださるような予感がありました。


姫様の部屋の前でその林檎をどうするのか、と問われた時、私は何も答えられませんでした。怖かったのです。女王様も、姫様を裏切ろうとしている私自身も。


女王様がなさったこと、私がしたこと。全てを姫様のお父上に申し上げました。鏡は壊れ女王様も私も牢の中に居ります。妹君は何も知らされず部屋にこもっていらっしゃいます。


姫様がこの手紙を読んでくださっている頃には私はこの世にいないでしょう。

王族への裏切りは大罪です。


どうかお幸せに。

お母上も姫様の幸せを願っていらっしゃることでしょう。

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