驚愕



もうダメかもしれない


そんなことを思ってしまうのは無理もないのかもしれないあそこまでの事をして、それでも無傷。


俺達じゃ、勝てないかと思い絶望しかけたその時だった。


「おーおー。派手にやってんな?こりゃまた」


そう言って、レーンさんがテクテクと戦場に入って来る。


あの人は何をやってるんだ...!?


「ふむ?また新手か?」


そう言い、レーンさんの方向に手をかざした。

まずい、そう思うと俺は走っていた。


俺は、走りながら注意を俺に寄せようと矢を放つ。


「レーンさん!逃げてください!こいつめちゃくちゃ強いんです!俺達じゃ敵わない!」


大声でレーンさんにここが危ない場所だと伝える


「ん?海兎か、俺なら大丈夫だ。」


そう言い、にっこりと笑った。そのままちょっと待ってろというと、レーンさんのほぼ真後ろに横たわっているヨロイさ...ん?


ヨロイさんの兜が地面に落ちている。

そして同時に教えてくれなかった素顔が明らかになる


カレンさんだったのだ。ヨロイさんの中身は。


カレンさんは気絶しているが手には先程まで持っていた馬鹿でかい剣がしっかり握られている。これが何よりの証拠だった。


レーンさんは、カレンさんの手に持っている馬鹿でかい剣を掴み、ブンブン振ってよしと言った


「レーン...だと?お前はまさか...!『豪剣』のレーンか!?」


『豪剣』のレーン...?


「ん?あぁ、よく俺のこと知ってるな?結構前に貰った名前だぞ?それ」


「幹部が1人。フリーク様を倒したのは『豪剣』だと聞いている。だが戦闘不能になる呪いが掛かっていた筈だが?」


え、レーンさんが倒したっていう魔族って4人しかいない幹部だったの...?


「まぁ、呪いは解かれたって訳だが娘や友達がここまでやられて、タダで返すわけにゃいかんよな?」


その瞬間、レーンさんが魔族の後ろにいた。既に剣を振りかぶった状態で。


「ちっ!」


魔族は舌打ちをするとまたどこかからか剣を取り出しレーンさんの剣を受け止めた


そのまま、2人は見えない速度で斬り合いを始める、カキンッ!キンッ!剣同士がぶつかりあう音しか聞こえない


この勝負は見たい、そう思い『鷹の目』を発動させる


視界がクリアになり、2人の戦いを見るが目で追うのがやっとという状況だった。


でも、この戦いレーンさんが押している

魔族はレーンさんの剣を受け止めるのでやっとになっている。目が慣れてきたのか剣筋が

見えるようになってくる


レーンさんの剣が魔族の剣を受け流すようにいなし、魔族の胸に一撃を入れる。


ゴフっと魔族が血を口から吹き出す。


勝負あったと俺は思い、『鷹の目』の発動を止める


「ふ、ふはははっ!強いな!俺もここまでか、だが死ぬ前にいい思いができたからないい事を教えてやるぞ。魔族は基本ツーマンセルだ、今回は弓兵を連れ帰ることにしたからな。」


なっ!その言葉を聞いてすぐ周りを見渡す。

後ろに振り返ると、其処には青い髪をツインの団子に結んだ女の人がいた。


「君、異世界人なんだね。近づかなきゃ気付かなかった。タケが持ち帰るって言ってたから連れていくね」


タケとはあの魔族のことだろう。

取り敢えず逃げる。

そう考え逃げる為の1歩を踏み出そうとした


「え...」


俺の体は金縛りに合ったように動かなかった


「じゃあ、また後でね」


そう女が言うと、意識がだんだん朦朧としていく


俺が最後に見えたのはレーンさんがその女と戦っている姿だった




私の意識が戻ったのは全てが終わった後でした。


『踊るナス亭』の泊まっている部屋のベッドにて意識を取り戻し


何がどうなったのか、をレーンさんからお聞きしました。


まずそもそも私は、戦ってる最中ケガ人の治療をしていました。

途中まで、ヨロイさん...ではなくカレンさんの事を援護で回復をしていたのですが

双葉が魔族から殺気を感じないと言ったので、ギルドにいた人達の治療をしていました。


そのおかげで、ギルドの方では『天使様』なんて呼ばれてしまっているのですが。


その後は爆風に巻き込まれて、気絶していました。


レーンさんはすべて話してくれました。


まず、自分がもともと3人ぐらいしかいないランクSの冒険者ということ、別に自慢することでもねぇしななんて言ってましたが、純粋に凄いと思います。


海兎君を連れていったのは間違いなく幹部の1人。と言っていました


何故、魔族の方は海兎君を連れていったのかが分からなく、私達は何も取る術がありません

正直八方塞がりでした。


そんな訳で図書館...書庫に来ています。


調べているのは魔族のことです。本当は柊さん辺りに話が聞ければなんて思います。

でも、柊さんはどこにいるかわからないし

柊さんが前の勇者だったという事しか知らない訳ですし、柊さんが知らないかもしれません

なので、今度何処かで会えたら聞こうと思っていますが、それまで何もしないなんてできません。


まずは敵の情報収集ということで書庫に何か残っていればなんて考えて来てみたのですが


現実そんなに甘くないです....ね。


逆に魔族関連の書物が多すぎて探したい内容が出てきません(´×ω×`)


幹部の事を知りたいのに、やれ魔族は実は人間なんじゃないかとかやれ魔術の回路が根本的に違うものとか、多分大事なことなのでしょうけど今全然関係ない物しか出て来なくて若干イライラしてきてる自分がいます。


双葉は爆睡中だし、でも起きてても頼りにはならないし。



取り敢えず敵の拠点だけ分かればいいかなっていう諦めモードに入ってきています。


あ、そういえばクラスの皆さんですが、会ったのですが一礼をしただけで帰って行ってしまいました。


そんなこんなで2時間近く、書庫に居たのですが


1冊だけ気になる本を見つけました


柊さんが勇者の時の英雄譚です。


簡単に説明すると


勇者は絶大的な力を持っていました、勇者1人で魔界に行って魔族と戦い、幹部を1人、2人と倒していきました。

勇者はひと振りで魔界を二つに分けるほどの力を持っていたと書いてありましたが、なんか現実的でないのはフィクションだから仕方ないと思います。

魔王と決戦の時、2人の剣の打ち合いは世界全体が震える程の威力があった。

そして、勇者と魔王の戦いは2日、ずっと戦っていて最後は勇者が勝ってチャンチャンって感じです


これが現実なら柊さんは強いとかそんなレベルじゃない筈で、もう魔界?という所に乗り込んで、魔王と戦っているのではないでしょうか?

そんな危ないタイミングで海兎君は魔界に連れて行かれた。

これはもう動くっきゃないんじゃないんでしょうか...。


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