魔族

俺達が別れようとした時、ギルドの方から大きな爆発音がした


俺や先生、そしてヨロイさんは顔を見合わせギルドへ向けて走った。

ギルドにつくとそこは瓦礫の山になっており、一人の男が宙に浮いていた


その男は大声で


「俺は魔族だ、魔王様の命により勇者を殺しに来た、勇者以外の者達を殺す気は無い!攻撃を仕掛けてくるなら別だが。さて勇者は何処かな?」


「うおおりゃああ!」


その瞬間、瓦礫の山から取り巻き二号、確か成川?だったかが握りしめた拳を構えながら凄い跳躍を見せ突っ込んで行った。

だが魔族の男はその拳を片手で受け止めそのまま後ろにゴミをポイ捨てするかのように放り投げた。


二号は確か動体視力がどうちゃらこうちゃらって言うスキルを持っていたはず。


しかも結構クラスの奴らの中で強いはず


その相手をいとも容易くいなした。


こいつに勝てるのか?と言う不安で頭がいっぱいになってしまう。


「しゃんとしろ!どうするんだ?!」


先生いや双葉さんの声にハッとする。あんなのに勝てる気なんてしないが、出来ることをしよう


「すみません、ボーッとしてました。戦います、準備をしましょう」


作戦としてはいつもと同じ。


俺は後方に入って弓で狙う、ヨロイさんは前でぶつかり合う、先生回復みたいな感じなのだが

問題は...あいつ浮いてんねん。


ここが問題だ。


攻撃が届かない可能性だってあるし

その時、結構デカめの炎が魔族に飛んでいく。

多分誰かが魔法を放ったんだと思うけど、すると魔族はその炎より2、3倍はデカイであろう炎をその方向に対して撃ちはなった。


やっぱりこいつかなり強い


「作戦開始です。ヨロイさんは危なくなったらすぐ離脱して下さい」


そう言って俺達は定位置に着きに行く


「ほう?この人間はできるな、貴様が勇者か?」


気付いたらもう戦っていた、ヨロイさんがジャンプをして斬り掛かる


そして魔族は何も無いところから剣を取り出し、ヨロイさんと剣を交えている。


俺はその隙にと『鷹の目lv2 』を発動させる。視界がクリアになる。ここまではいつもと一緒だった。

魔族を見ると、右脇腹辺りと左肩辺りが魔物の魔核のような見え方をした


魔族というのは魔核がないと聞いていたが間違っている?

でも、2箇所。


明らかにおかしかった。1体に今まで2個の場所が見えることなんてなかった。


そこで俺はこの事で1つ仮説を立てた


実は弱点・・見えてるんじゃないか説


根拠はないが、今まで俺は人間相手に使っていなかった。ので分からなかった可能性がある。


取り敢えずやって見なきゃ意味がない。


俺は魔族から遠く離れているが慣れた手付きで弓を構える。

そして左肩に向け矢を射た。

すると魔族は先程まで余裕そうにヨロイさんの剣を受けていたのに、俺の矢が来たとき焦ったように矢を避けた

避けたことによって隙が生まれそこをヨロイさんが思いっ切り剣を振りかぶり右腕をぶった切った


よし!やっぱり今見えているの弱点だ。


今の魔族の避け方はかなり左肩になにかを抱えている。


「はーっはっはっは!良いぞ!良いぞ!人間!特に弓兵!どういう理由で俺の弱点に気づいたかは知らんが矢の鋭さそれにコントロール、素晴らしかった!仲間に欲しいくらいだ!」


魔族は獰猛な顔つきになりそう答えた。


俺はお返しとして右脇腹に向かって矢を放つ


「ふむ、やはり弱点を分かって狙ってきているな。おい、弓兵本気で俺達の仲間にならないか?仲間に優れた弓兵がいないんだ。」


仲間になる気なんてこれぽっちの一欠片もないし、平和で静かに暮らすって決めてるんだ


それにしても打つ手がない。


片腕を無くしたというのに全然衰えてない。

それよりかさっきより勢いが増してきている。

多分本気じゃなかったんだろう


今もヨロイさんが1人で前衛を張り続けてくれている


馬鹿でかい剣を片手でぶんぶん振り回したりしながら魔族に突っ込んでいくが、片手で持っている剣に上手い具合にいなされる


先生はヨロイさんに回復で援護している。

双葉さんの黒魔法が魔族に使えるか聞いてみた所、あっちはかなり格上らしく弾かれるとのこと

今、気づいてしまったこのパーティーの欠点は決定打つまるところの必殺技的な物がなく

切り札もない。


手詰まりか、と思っていたその時だった。


「うおおおっ!」


取り巻き1号が燃えている剣を持って魔族に斬りかかろうとした。


「ファイアーソードーッ!」


なんてダサい名前...( ˙-˙ )


じゃなくて、斬りかかった瞬間いろんな方向から魔法がバンバンと飛んでいく



大きな爆発が起き、皆が吹き飛ばされた。


やったのか!と起き確認するとそこには



無傷で佇む魔族の姿が見える


あぁ、駄目かもしれない。


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