再び、国王陛下の胸の内

「歴史は繰り返す」というのは、あまりにも小さすぎる話だ。


「まずは、の言い分を聞かせてもらおう」


 緊張しきったバカ息子は、あの時の俺と同じようにけんか腰だ。


「父上、俺は王にはなりません」


 そうか。

 ならば続く言葉は、冒険者になるといったところか。


 あの時、父が何を思って窓の外を眺めていたのか、今の俺には手に取るようにわかる。


 同じくらい、バカ息子がどれほど自分を奮い立たせているのかもわかる。


 父上、

 これほど、愉快なこともそうなかったでしょう。


 俺の横で戸惑いながら、平和そのものの町並みを眺めながらバカ息子は、将来を決めた。


「冒険してみせますよ。父上以上の町並みを」


 こうして歴史は繰り返された。

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「歴史は繰り返す」と言うには、あまりにも小さすぎる話 笛吹ヒサコ @rosemary_h

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