第14話 満山家


高咲憂様、参りましょう。。。。


満山家の家人に連れられ、憂は奥へとすすんだ。さっき、受付で杖もビーズのバックも預けたので、少し右に、片がうようにゆっくり歩く。憂は生まれつき、左足が不自由だった。


どうか遠慮なさらず。。。


満山の家人も、一矢と同じように手を差し伸べた。いえ、大丈夫ですから。。。憂はそう答え、それから、あちらですね、大丈夫です、一人で参ります。。。。。



すんなりと満山の家人は、分かりました。。。と答え、お席のお時間の15分前には、お待ち合いでお待ち下さいね、とほのかに微笑んだ。


憂は、はい、承知しました。。。と答え、それから、ほっとしながら満山の家人が受付に戻っていくのを見届けた。



食事の座敷にはまだ長い廊下があるようだった。ガラスの縁側越しに、さざめくように話に興じる振り袖姿の女性たちがあちこちに見えた。



本当に華やか。。。。


祖父が尺八、祖母が日舞とお琴、母がお茶とお華を教えている満山の家だから、こんなに風流ごとを楽しむ人達で溢れているのだろう。。。


所々にいる男性は、ほぼ羽織袴。。。


さっきの一矢はスーツだった。。。。


僕は羽織袴はちょっとね。。。一矢はそう言って笑っていた。


一矢の父は、確か、貿易関連の会社をしていて、日本にあまりいなかったはずだ。。。


日本には兄がいるからいいんだよ。。。


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