第25話 オオダコ
「来たぞ! 右方向!」
夜警の声だ。
俺は慌てて右に向かう。え?
「オオダコ襲来!」
夜警再度言ってるが。
これどうするの?
完全に船にへばりつくオオダコ。大きい! ジュゴン……じゃないセイレーンも小さくみえる。
ギシギシと船から音が出ている。え? これ手だししていいのか? オオダコから紫の煙は出ていない。
魔物じゃないので手だししていいか考えてたら船長が来た。船長が呪文を唱えると稲妻が何本もオオダコに当たる。船長とオオダコの根性比べか? オオダコはまだ船にへばりついてる。稲妻がオオダコの目を捉えた。やっとオオダコは諦めたのか足を船から外して去って行った。
なんだよ。海って、魔物関係なく危ないじゃないか! セイレーンにオオダコって、ある意味魔物より厄介なんだけど。
船長見てて再度思う。魔法いいなあ。魔法使いがよかった。地雷切りも言葉通りの魔法ありそうだもんな。さっきの見てたら。
さて、俺の憧れをよそに俺の地雷切りは役に立ってる。まあ、あと少しだろうな。これも。地面でやったら地面ひび割れして大迷惑だもんな。名前どおり。
最後はウトウト仮眠を取る余裕も出るほどこの辺は魔物がそんなにいないな。
オオダコのせいか? 魔物もオオダコにはかなわないだろうか……海の世界を考えてたら寝ていたみたいだ。
「トオル起きて! 交代だよ」
目の前にジュジュがいる。
「ああ、おはよう」
俺は起き上がり、いつもこうならいいのにと思わずにいられない。
さて、食堂に入りご飯を食べる。そういや、夜の当番ではじめて寝てたな。最初の日はセイレーンに寝かされそうだったけど。このまま昼も少ない魔物の襲撃だったらいいんだけど。
さっき寝たのにまだ眠い。あ、明日はジュジュの買ってくれた服か。あれはまあ、あのままでいいか……
よく寝てももう育ったりはしないが、俺はよく寝た。襲撃が続いてたので疲れていたんだろう。
というわけで、起きてジュジュの買ってくれた服に着替えた。やっぱりこっちのが動きやすいな。
若干のファンタジー感に目をつぶれば、動きやすいしいい感じだ。ピーターパンを連想させるファンタジー感は消えないが。
今日は甲板に確認に行くこともないだろう。海は平穏そのものだ。ご飯を食べて甲板に行く。
「トオル着てくれたんだ!!」
ジュジュ、俺の服を握って船の上で飛び跳ねない。
「ああ、ありがとう。動きやすいよ」
リンにも伝わるだろうか、この俺の気持ち!
「もう着替えたの?」
ああ、リンには全く伝わってないね。
みんなの安全と変化を確認して交代する。
昼も海は平穏だったそうだ。……ここまでくると気味が悪い。
俺の予感は的中した。なんで悪い予感は的中するんだよ。
魔物の襲撃が終わると始まる、終わると始まると休む間もなくやってくる。
イカも貝もエビも岩もコンブもサメもラッコもペンギンも、何、何なわけ? 次から次にやってくる。
戦闘中に朝日が登り明かりが消されてもまだ戦いは続く。
交代する為に出てきたんだか、加勢に出てきたんだか、そのまま昼の当番も戦いに突入。
キリがない。
「おーし! 夜の当番交代だ。心配だろうがしっかり休めよ!」
船長の言葉に夜もこれが続くんだと思わずにいられない。
後ろ髪ひかれつつご飯を食べてベットへ。
ジュジュとは話できたがリンやツバキやニタには無理だった。次の魔物の襲撃を知らせる声があがったからだ。
ところどころ軽く傷があったんで、ジュジュに治してもらった。
なぜジュジュは涙目になりながら治癒するんだろう。フェアリーは慈悲深い生き物だからかな?
ベットへ行き横になるが心配だな。大丈夫かな。体力勝負になりそうだから……。
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