第7話 炎上!ブラックキャット!

 ロボットは右腕を構え、戦闘状態に入った。私は、見ていることしかできない。しかし、ロボットの左腕はCANCERによって切断され地面へと落とされてる。不利な状況だった。

 とりあえず、この状況から分析できることは、あのハサミに気を付けろ、だ。

 そもそもCANCER自体が戦闘用ではないのだ。元は自衛隊で使用される災害派遣用の兵器なのだ。それを公共機動隊が買い占め、戦闘ができるタイプに改造したのだ。全くおせっかいな部隊である。

 CANCERはハサミを構え、こちらに突っ込んでくる。

 ロボットは飛び上がり、攻撃を回避した。

「回避成功……当機ハ主人カラノ指示ヲ待ツ」

 ロボットは私にそうアナウンスをした。指示、か。この状況では攻撃か回避しかないだろう。逃げるというのも一つの手だが、それはできない。もう野次馬が集まっている。

「ロボット、攻撃だ! CANCERは反動で動くのに時間がかかるだろう! それに、さっきの行動を見ていても、そこまで早くなかった! いけっ!」

「理解不能。チャント指示ヲスルヨウ求メル」

 なぜなのだ。指示ってこういうことではないのか。私は頭を悩める。どうするべきかと。

 すると、床からいきなりアーケードの操作盤が出てきた。左にスティック、右には5つのボタン。バリバリのアーケードコントローラーが出現した。

「操縦ヲ求メル」

 ロボットからそうアナウンスをされる私。まるでこれはデスゲームだ。負けたらこのロボット共に空の彼方のお星様になってしまうというとんでもないデスゲームの始まりだ。

 私はどうにでもなれという思いで、左手でスティックを握り、ロボットを操縦する。

 ロボットは動き出し、CANCER目掛けて走り出す。

「ひとまず、ここは攻撃しないと」

 私はCANCERに近づくと、強烈な飛び蹴りを食らわせる。

 CANCERはちょうどハサミを振り上げている最中だったので、思いっきりクリティカルヒットを食らわせることができた。

「や、やった!」

「必殺チャージ完了」

 ロボットからそうアナウンスされる。

 やはりこのロボットにも必殺技があるらしい。私はいざ必殺技を出そうとするも、出し方が分からない。こういう類の操作盤は使ったことがない私なので、コントローラー世代の私なので、さっぱりだったのだ。

 どうすればいいのかと、テキトーにスティックとボタンを動かしていると、突如ロボットが自動で動いた。


「第二次必殺! ブラックカット・クロウッ!」


 倒れているCANCERに馬乗りになり、腕や足、頭、それから胴体の動力部分をめちゃくちゃに引き裂く。正義のヒーローには、ほど遠すぎる必殺技をぶちかました。

 引き裂かれたCANCERは当然のごとく停止し、炎上した。炎を纏い、炎上した。 周りには野次馬が先ほどよりも増えているが、ロボットはそんなことは気にしてはいない様子で私に言う。

「コレカラ、博士ノ元ヘ向カウ」

 ロボットはそう言うと、猫のように民家の屋根に飛び乗り、疾走した。

 この時、私は思った。明日のニュースは、今日の出来事で、話題炎上になると。

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第二次戦士ディメイダー ぱれす @5040palace

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