あとがき

 腕をお読みいただき、ありがとうございます。


 怪異譚の腕と言えば、能の『羅生門』がよく知られているかと。渡辺綱が戦って切り落とした鬼の腕。それを、鬼が綱の親族に化けて取り戻しに来るという話ですね。

 本話では鬼女の腕をモチーフにしましたが、腕には人格がありません。ただの腕ですから。では、腕の正体は実のところなんであったのか? 本話は怪異譚のように見えますが、実際は心理劇なんです。誰がなんのために腕を動かしたか。それを今一度お考えくださいませ。そうすれば、力を使える夜盗の頭領、直義、古妖の間になんらの差もないことが分かっていただけるかと。


 本話は、長編小説のサイドストーリーとして執筆したもの。小野塚禁所縁起という長大なサイドストーリーの前編になっています。後編は、長編小説の筋立てにべったりくっ付いているので、単独で切り出せません。ですので、この怪異譚が明るい学園小説にどう繋がるかをもやもや妄想していただければ幸いです。


 いひひ。


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水円 岳 @mizomer

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