第32話 序・破・急(最終話)

その年の課題曲は,吹奏楽のための「序・破・急」ト調でした。


自由曲は何だったのだろう?

「山のイヨ」だったと思うのだが、イヨの部分はどういう漢字だったのかが、どうしても思い出せません。

(スマン!F先生)そのかわり課題曲は、全部思い出しました。


以下のとうり。


――――――――――――――――――

1年生の時

課題曲

 学園序曲

 作曲:佐藤長助


2年生の時

課題曲

 吹奏楽のための序曲「北の国から」

 作曲:服部公一


3年生の時

課題曲

 吹奏楽のための「序・破・急」ト調

 作曲:陶野重雄

――――――――――――――――――

※自由曲は思い出せません。


さて、この年のコンクールは、かなり自信をもって出場しました。


演奏が終了すると、


一瞬の静寂の後


ものすごい拍手と歓声!!


こりゃ、手ごたえ十分やないの!


・・・が、なんと・・・


タイムオーバーで失格だったのです!

(ほんの数秒です。)


「**校・・・タイムオーバーで失格!」


という発表が会場で発表されて、


・・・


会場が静まりかえったのを鮮明に思い返されます。


女子部員は、皆大泣きでした。


3年間、全てを犠牲にして、


やっとこぎつけた結果がこれだから、


現実とは、こんなものというのを


思い知らされたのです。


1番ショックだったのは、


F先生だったのかも知れません。


コンクールの結果は失格だったのですが、我々3人は意外とスッキリしていました。


演奏終了後の大歓声は、嘘のものではないと確信しましたし、もうそれだけで報われたのです。そして、内心「ついにリベンジしてやった」という気持ちだったのです。


少なくとも全てを出し切った事で、前回コンクールの消化不良のような「もやもや感」はありませんでした。


夕日を浴びて走る帰りのバス車中は、いつもとかわらないのだが、3年生は、今日が最後の部活でもあったわけで、明日からは、もうツライ練習もない。



【追伸】

結局、クラのM子には、好きだったことは言えなかった。たしか、F先生と同じT音大へ行き、その後、音楽の先生になっているそうだ。


夕日を浴びたバス車中がセピア色で思いだされて、なにやらショッパイ思い出です。


【その後のエピソード】

たしか私が、社会人の時に産業音楽祭で大阪のフェスティバルホールに6人のコンボ編成で出演した頃でした。田舎に帰郷した時に、たまたまM子の家に電話すると元気な声が聞けたので、会うことができました。


夜の街(といっても田舎ですが)の、当時のスナックにM子の兄ちゃんと3人で深夜まで飲み明かしました。そのスナックカウンターの中にいたのは、第26話にも出てくるヒラテンです。彼は、たしか市役所務めのはずなのに、こっそりとバイトしてやがった。あいかわらずです。ヒラテンの話では、マサ君は、寺を継がずに商船大学を出て、外国航路を行ったり来たりのようです。


この年の今津中の「吹奏楽のための「序・破・急」ト調」です。


ほぼノーミスです。↓

https://www.youtube.com/watch?v=TJMWCT4eJcI

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フィンランディアへの道 高林 洋市 @wtar00

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