第27話 戦国物語

叔父さんの家には、別棟に私のお爺ちゃん、お婆ちゃんが健在でした。


この「お爺ちゃん」がまた普通ではないのです。


とても博学なんである。

その時は詳しくは知らなかったのですが、正式な俳号も持っているらしい。


父が今の実家を建てたときには、防府の実家に岩国からはるばるやってきて、そこで短冊に即興で俳句を筆で書いて渡されたそうです。なんて恰好イイというか粋なのでしょうか。そのお爺ちゃんは、私が高校の時に八六歳で亡くなりました。

前日に焼酎を飲みすぎてポックリでした。

私から見ると最後まで粋だなぁと思うのは変でしょうかね。


縁台で夏の夜空を見上げながら、


お爺

 「あの月まで、どの位の距離があるか教わったか?」

 「ううん!知らん」

お爺

 「なんや、そんなことも教えてくれんのか」


と言いながら、**万Kmでだいたい光の速度だと**秒かかるなんてことを素直にご教授!


一番の楽しみは、この「お爺ちゃん」の語る昔の戦国物語です。


お爺

 「今日は、何がエエかの?」

 「この前は、湊川の戦いの直前で終わったから、その続きがエエ」

お爺

「おおそうか、」


ってな調子でワクワクだったんです。

なんでこの白髪で坊主頭に膨大な物語が詰まってるんだろうか?と不思議と尊敬の目で見てました。乗馬も叔父さんよりも「キマってる」ような気がします。


(スマン!叔父さん)

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