第26話 オールナイトニッポン

当時、ニッポン放送の「オールナイトニッポン」を聞いている同級生は少なくて、

Kやケッカンに言っても

「なんだそれ?」

「ラジオなんか聞かん」

というTV全盛の時代でした。


よってリクエスト・カードは、かなりの確率で名前が読まれていましたが、それでも毎週に数十枚のハガキは無駄が多いというので地方の放送局へターゲットを変更して売名行為をしていました。


今はラジオネームとか言っていますが、当時はハンドル名と呼んでいました。

今だから明かしますが、当時のハンドル名は、

意味もなく面白ければイイだろうと

「キ印のチャムチャムミッチャム」

というバカげたネーミングでした。

(放送コードすれすれです)


ハガキを出せば「読まれる」確率は高いので、せっせと新曲のリクエストをしたもんです。

この新曲というのが問題で、雑誌で仕入れた情報では、すでに遅いということに気づきはじめ、競合相手に勝つにはどうしたらよいかを思案するようになりました。


当時は、BCLをやっていたこともあり、短波ラジオで海外のビルボード・チャート番組を聞き、新曲チェックをしてました。

そのせいか、ハンドル名では、かなりの有名人になっていました。

どうも負けず嫌いは、あの「オジゆずり」なのかも知れません。

放送局側も

「なぜそんなに早く新曲を知っているのか」

が疑問だったようです。

後に山口放送局へ出かけて、担当のアナウンサーから質問を受けて、

そのことを回答したら

「なるほど」

と感心されました。

こっちは、アメリカでチャート上昇している曲は

「絶対日本でもヒットするはず」

という確信を持っていました。


予測するという面白さも手伝って夢中になっていました。

そんなある日、局から

「自分で作成した番組を送れ」

との依頼がきた。


番組を収録するのは、マサくんの寺の本堂裏に増設された立派なオーディオルームを使わせてもらうことになりました。


マサ

 「最初の曲は、これでイイかな?

  Black Magic Woman/Santana」


ヒラテン

 「頭出しは、習字の下敷きを使うと

  エエよ。今から作るから、ちょっ

  と待ってくれ、という具合でした」


習字で使う下敷きの真ん中に穴を開けてレコードプレーヤーのターンテーブルに敷き、その上にレコード盤を乗せる。


そして、下敷きの端を手で引っ張っておけば、ターンテーブルは回っているのにレコード盤は、停止状態なのです。この技は、山口放送の局アナに教えてもらった。

こうしておくと曲の頭部分に針を置いても手を離すまでは、音は出ないわけです。


オレ

 「オレは、原稿を書くから」


この頃から原稿書き専門になっていった。こういう調子で15分番組を作成して応募しましたが、残念ながら放送されることは、ありませんでした。


やはり、このあたりの才能は、無かったんです。

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