翅と紙片

拝啓、響き終えた音の溶ける間際へ。



続く雲に帳を探した

まるで今日、日が昇るだなんて

回路は嘘を届けに行った

そう思わせて



朽ちた港の振りをして

ライターの場所を逃げ出して

気取った君には行けない場所を、忘れた頃に青が点いたら



波であるために飲み干した海の

命より柔らかい街は

水槽・管の中に4つだけ

でも まだ そこに無いものを追い越す鼓笛は



約束を守る唯一の身体

昨日が来たとは知らない僕が

また意地のせいで付いてきて

もう罅のせいで見せられない



一番小さな引き出しばかりの

同じ影を待っているなら

遂に螺旋を好いたって

遠い幽かを待っているなら



明滅する木々

本を閉じたら夜が来る

一緒に逃げてしまいましょうと、終わる季節の人になる



獅子のない夜と色を比べて

夜更けと孤独のどちらを焼べた

二度とない場所は隠された君に

ペパーミントが話を聞かない、そんな光



サイフォンソーダに金色の

油の中に石壁の

罅割れの中にあくる日の

そのことばかり聞き足りないな



どんな終わりの後にも必ず

呼吸が僕を起こしてしまえる

時刻を知れば失くしてしまう

綺麗な夜明けに

古びた彼方に

動詞の匂いにつられて笑う、

二度とない場所の7番線に。

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