第6話 包装紙は透かして

西瓜スイカ

西瓜に。舐瓜メロンに。林檎リンゴに。葡萄ブドウ

何だ、うめもあるじゃないか…


私は今、駅のホームにいる

具体的に言えば電車乗り場の中央

両方向に向いた、駅のベンチに座っている…

一人で。

家を出てから、住宅街を抜け、

そそり立つ電信柱を横目に、街の中心部

南夕西駅みなみせきにしえきに着いた

ややこしい名前だとは思った、私もちゃんと感じた、大丈夫‥

引っ越し初日に散歩がてら、

ご近所挨拶をして回ってるとき

否応なしにこのややこしさと出会った…

「人は適応する動物である。」

アリストテレスだか、誰か忘れたけど

そんな言葉を残していたな…

どうやら私は人ではないらしいテレス圏内では。


話を戻そう

今、私は、駅のホームにいる

もちろん、電車に乗るつもりで…

電車を待つ間、ふと気になり

お土産がぬるくなってないか確認していて、

中身の宝物に目を奪われていて、

その男の言葉を聞き漏らしていたらしい


テルルルルルル

「えー2番ホーム2番ホーム、相田駅方面のお客様はお乗りください

繰り返します、2番ホーム、相田駅方面のお客様はお乗りください」

テルルルルルル


そう私はこの放送を聞き漏らした

こうして、私は炎天下のホームで

次の列車が来るまで…

ここで待つことになった

無慈悲にも、次の到着は20分後らしい…


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る