1.5

 幽霊。


 本屋の小説コーナーで数個石を投げれば(よい子はまねしてはいけません)一つはあたって出てきそうな代物だ。


 死んだ人間の魂は、時に天国的なあれ――天界、と呼ぶらしいが――に何らかの思いがあって行きたがらず、地上にとどまり続ける。

 それの《回収作業》が、魔法少女の役目らしい。


『確かに、死神もいるっちゃーいる。しかも、年々増えているんですね、これが。死神は――いや、なんでもない。うん、でも、圧倒的に足りない。この御時世、やはり何らかの形で未練って言うのかな、そーゆー想いを持った人が異様に多いんじゃよ』


 ガラ声、女の子の声、老人の声と変化しながら、微妙にぼかしてヴェリテは語った。


『そこで、《霊狩り》対策室は考えたわけだ。異能力を餌にして準死神、名前をかわいくしまして魔法少女、もしくは魔法少年を人間達にやらせようって! だって、幽霊って大抵人間だもの。原因作ってらっしゃる人間様にその役目を負わせちゃえば、おーるおっけーのーぷろぶれむ! ヴェリテ君あったまいいー! うん? ヴェリテちゃん、かな?』


 というようなことを、その餌に釣られた私の前でぶっちゃけた。

 後で絞めておいた。

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