第16話 国の中→国の外

 小型ホログラム映写機に映し出されるマザー……ミニマザーと、ミニマザーを運ぶ役目を仰せつかっているらしい管理パーツに先導され、わたし達は最下層から地上へと上がり、この国を囲う巨大な壁の前へと移動した。

 目の前の、背が高く重厚な雰囲気を放つゲートを見上げる。

 まさか、正面から堂々とこの国を出ていく事ができるなんて。この展開はさすがに一ミクロンも想像しなかった。

「……いや、それ言ったらわたしの素性とか置かれた状況とか全部ぜーんぶ想像不可能なくらいぶっ飛んでましたけどネ……」

 中身のよく分からない古代システムだの、科学的な人体生成だの、わたしはそれらによって作られた《大元のわたし》のコピーだの。

 むちゃくちゃだ。

「……何これわたし呪われてんの? 前世で何か悪い事でもしましたか神さま」

 前世も来世も神さまも信じてはいないが、思わずそう愚痴りたくもなる。

『これより、ゲートのロックを解除します』

 ミニマザーがそう告げた直後、大きなモーターの駆動音が響き始めた。ゲートは中央から左右に開いていくが、その速度はとてもゆっくりしている上に、どうやら二重になっているらしく、開いた向こうにもまた壁が見えた。手前から順番に開くらしい。両方開くまで、まだもう少し時間がかかりそうだ。

 わたしは映像でしかないミニマザーに尋ねる。

「……ねえ、マザー。どうして見逃してくれるの? あんたがその気になれば、わたしごとまとめて殺す事もできるでしょ?」

『私の最優先事項はこの国のシステムの保全です。それさえ達成できるのであれば、方法は問いません。考えられる対処法は二通り。あなたに国外へ退去してもらうか、処分するかです。当然、退去してもらうのが一番いい。それがあなたの意志なら、なおの事それを歓迎します。また、私はあなたに興味があります。最初は、自らのルーツを知ったあなたがどういった選択をするのか、という点に。そして今は、この世界に所属すべき場所を持たないあなたが、これからどのように生きるのか、という点に』

 ミニマザーは淡々と答えた。

 わたしは科学に詳しくないので、AIがどういうものなのか、実のところよく分かっていない。ただの一般高校生にそんな知識を求めないでほしい。

 とりあえず、知的好奇心らしきものはあるらしい。ずいぶん悪趣味な様子だが。これはおそらく、善悪の区切りなどないに等しいがゆえなのだろう。幼いがゆえに虫や小動物に残酷な事をする子供のようだ。

『人間の思考は非常に興味深いものです。あるタイミングでは合理的な選択をしたかと思えば、また別のタイミングでは非合理的な選択をする。――あなたが初期に管理パーツを連れて行った選択は理解できます。あなたはこの国について最低限の知識もない。管理パーツは必要な情報源でした。武装パーツもまた、合理的な判断と言えます。あなたは武装パーツに追われていた。こちらにあなたを害する意図はありませんでしたが、あなたにはそれが分からない。対抗手段として、武装パーツは必要な力だった』

「……………………」

 トウヤについては、反論不能。一応、それだけが理由ではなかったけれど。誰ともまともに会話が成立しないこの国で、トウヤは初めてまともに会話した相手だった。わけの分からないところに一人きりになった心細さは、他者の存在を強く求めていた。合理的、というよりは利己的判断だと思うけれど。トウヤの知識を必要としていたのも事実だ。

 シイナについては、違うと言いたい。単純に、放っておいてはいけないと思ったから連れて行く事にしただけだ。しかし結果として、シイナの武装パーツとしての能力はかなり有効に活用されたので、マザーのような第三者視点から見るとそういう合理的判断に分類されてしまっても文句は言えない。

『しかし、あなたは私とコンタクトを取り、私に害意がない事を理解しました。あなたの意志を尊重すると、私はあらかじめあなたに告げました。この時点で、あなたは管理パーツの知識も、武装パーツの武力も必要としなくなった。――この国以外の事を知らないパーツは足手まといでしょうに。それでもあなたは二体の不要なパーツを連れて行く事を選択した。これは非常に非合理的な選択です』

「まあ理屈上はそうなるわな」

 何やらいろいろ遠回しにこねくり回すマザーに、わたしは疲れたように言い返した。

「でもさ、人間って別に、必要か必要かないかだけで全部を判断して選ぶわけじゃないし」

『私にはそれが理解できません』

「頭かったいなー。あ、プログラムなんだっけ、あんた」

 コンピュータは、0と1ですべてを計算する。たしか情報の授業で先生が言っていた。コンピュータの中身になんて大して興味がないわたしには、よく分からないけど。

 0か1か。白か黒か。表か裏か。どちらか一方しかない世界は、さぞ分かりやすい事だろう。

 けれど現実問題、世界ってのはそんなに単純でもないのだ。

 優しいだけの人間なんているだろうか。腐っているだけの人間なんているだろうか。

 ちなみにわたしはそんなおきれいな人間ではないし、かといって腐った根性しているわけでもない。と、思う。

 0も1も。白も黒も。表も裏も。すべてわたしの中に存在するもので。

 きっとそう感じるひとは世の中にはたくさんいるだろう。

 ひいては世界そのものこそ。いろんな要素や可能性を内包していて、ぐっちゃぐちゃで、理解に苦しむものなのではないだろうか。

 このAIは、たぶんそこのあたりが分かっていないのだ。

「そもそも、本当に必要なものなんて、この世にあるんだろうかねー」

『……意味を理解しかねます。どういう事ですか?』

「たとえば、わたし。わたしは必要なものか、不要なものかっつったら、まあどうしても必要なものではないよね。特にわたしなんてさ、よく分からん古代システムとやらのコピーだそうじゃないですか。本来なら存在するはずのないものじゃん。むしろ存在しないほうが正しい姿なんだし、当然わたしが存在しない事で世界が大きく変わるわけじゃない。逆にわたしがこうして存在してても、大きく狂うわけでもない。いないならいない、いるならいるで、それなりに世界は回ってくもんでしょ。まあわたしがいなきゃトウヤは近い将来廃棄処分になってんでしょうけども。それだって、この国や世界に大きく影響するってわけじゃないし」

『………………』

「言っちゃ悪いけど、ルーデル・ポリスだって同じだと思うよ。この国一つなくたって、世界は回る。もっと言うなら、国がなくたって人間が生きる事は不可能じゃないし。人間がいなくたって動植物がいなくたってこのアーシスって惑星がなくなるわけじゃない。究極的に言えば、アーシスがなくなったところで宇宙はなくならないし……宇宙がなくなったって、誰が困るでしょうかねえ?」

『………………』

「まあつまりはそういう事。どんなものだって、ないならないなりに、どうにかなっちゃうもんだと思うんだよね。別に人間全部がそういう風に考えてるわけじゃないだろうけど。少なくとも、要不要でわけて物事全部を考える事が馬鹿馬鹿しいっつー意識は、大部分のひとが持ってんじゃないかな。まあ、だから自分が存在する事に意味を持たせたいって考えるひとも大勢いるんだろうけど」

『………………』

「結局のところさ、人間の判断基準なんてのは人それぞれで、だからあんたからすると複雑そうに見えるんだろうけども。実のところ、笑っちゃうくらい単純明快なんだよね」

 手前の門は完全に開き、奥の門もどんどん開いていく。内部に浄水機能を持っている外壁は相当に分厚いらしく、壁の向こうは遠くて、緑が繁っている事くらいしか分からない。


「『そうしたいから』――――つまりただの《わがまま》だ」


 駆動音が鳴り止んだ。手前の門も、奥の門も、開いた状態で静止している。

「トウヤとシイナを連れて行くのは、わたしのわがままだよ。連れて行きたい、っていうか、廃棄なんてさせたくないから連れてくって感じ。……ぶっちゃけわたし、あんたの言う《ルーデル・ポリス・システム》ってやつ、嫌いだよ。たとえ廃棄されないとしても、トウヤとシイナをここに置いて行きたくない」

 トウヤの視線が、わたしと、マザーと、門の向こうを行き来している。

 まるで遠足を待ちきれない子供のようだ。

 ……年齢的には子供ですよね。八歳だもんね。あり得ない。

 外で年齢聞かれたら十八って答えるように言っとこ。シイナは十歳でいいだろう。

「んで、行っていいですかね、マザーさま」

『……どうぞ』

 今まで機械的で平坦だったマザーの声が、どこか落ち込んでいるように低くなった気がした。しかし、映写機によって映しだされているミニマザーの表情は、やはり無表情のまま変わらない。

 気のせいだったか、と一歩踏み出した。

『……タカラ・ナルミ』

「ん?」

 呼び止められて、素直に振り向く。

『……この国は、きれいでしょう?』

 どうしてそんな事を聞くのか分からなかった。

 マザーはルーデル・ポリスに、ひいてはこの国をコントロールしているルーデル・ポリス・システムに自信があるようだと感じていた。そんな事、いまさら第三者に確認するような事ではない気がする。しかし、聞かれたので素直に答える事にする。

「まあ、きれいだとは思うけど……」

 ミニマザーと、小型映写機を抱える管理パーツの向こう。

 真っ白な国。

 おそらくコンピュータ演算で配置されたのだろう、花々。

 空っぽの表情で、すれ違いざまに会釈すらせずただ通りすぎる住人達。

「さみしいよ、ここは」

『――――――――――』

 マザーは何も答えなかった。

 わたしは、この国のシステムが、嫌いだ。

 パーツを作り、花を作り、花を育て、パーツを廃棄し……そんな無機質なルーチンワークだけが、この国のすべて。

 この少女の姿を模したAIはトウヤやシイナとは違う。きっと、この国のシステムを運用する事が一番大切で、それ以上のものなどないのだろう。

 それ以外にないから。それ以外の道なんて考えもしないし、望みもしていない。

 本人がそれをよしとしていても、わたしは嫌だ。

 ここには変化がない。

 ずっとずっと同じ事を繰り返してきて。ずっとずっと、これからも繰り返していくつもりなのだろう。

 変わらない日々を。

 見せかけだけの、《きれいで平和な同じ今日》を。

 きれいなのも平和なのもいい事だけど。

 そんな世界は、嫌だ。

「さよなら、マザー。わたし達は、明日へ行くよ」

 マザーに背を向けた。

 わたしも、トウヤも、シイナも、振り返る事なくゲートへと足を踏み出す。

 マザーは何も言わなかった。


 ゲートが閉じ切った音を背中に受けながら、わたしは茫然と立ち尽くした。

「……すご……」

 思わず声に出して呟いた。

「花だ……」

 言わなくても分かりそうな事を、トウヤが言った。おそらく、驚いているのだろう。

 ルーデル・ポリスの外は、花畑が広がっていた。

 と言っても、特定の種類の花がかたまっているわけではない。種類も、色も、ばらばらだ。花々はそれぞれ好き勝手な場所で、好き勝手に咲いている。

 国の外だから、誰かが手入れをするはずもない。伸び放題の雑草に、整合性のない花の羅列。

「……そっか、種が……」

「タネ?」

「大きな球根とかだと無理だろうけど、ちっちゃい種なら風で飛ぶから、たぶん……」

 ルーデル・ポリスから飛び出した種子だ。

 それが、いい事なのか、悪い事なのか。わたしには分からない。

 別段花に詳しいわけではないが、合う土壌、合わない土壌があるらしいと聞いた事がある。ルーデル・ポリスの中ではきれい花を開く事ができても、国の外でも同じように咲くかどうかはわからない。種が飛んでも、育たなかった花もあるかもしれない。

「……では、ルーデル・ポリスで作った花か。たしかに見覚えのあるものがある」

「全部じゃないかもしれないけどね」

 おそらく、最初からこの周辺に根をはっていた花もあるだろう。どれがそうかは、わたしには判別不能だけど。

「――――きれいだなあ」

 風に揺れる花々の姿を眺めながら、呟く。

 ルーデル・ポリスのように、計画的に植えられて手入れされているのも悪くはない。けれど、わたしはどちらかと言えば、こういった自然のままの姿のほうが好きだ。

 土が合わなくて咲けない花もあったかもしれない。でももしかしたら、土に合うように進化して、咲いている花もあるのかもしれない。そういう自然の強さは、とても美しくて。


 さっきからずっとある胸のしめつけを、助長する。


 どこまでも広がっていそうな、色とりどりの花畑。後ろには白亜の閉じた門。

 もう戻れない。戻る場所などない。縛るものは何もない。わたし達は、どこにだって行ける。

 行くあてはない。待っている誰かはいない。会いたい人もいない。

 ただ、前に進むしかない。


「……ふっ……う、ぁ……」


 ――そうか。


「ああ、ああああぁぁぁぁあぁぁぁあああぁ――――――――っ!!」


 自由って、こんなにさみしい事だったんだ……。


 * * *


「……タカラ」

 気持ちがだいぶ落ち着いて、ぐしぐしと乱暴に目をこすっていると、トウヤが声をかけてきた。わたしが泣いた理由なんて、トウヤには分からないだろう。不思議と心配されているような気がして、安心させたくて、笑った。

「ん、もう大丈夫!」

 実際、無理はしていない。大声を出して泣いたら、驚くほどすっきりした。自分の切り替えの速さに万歳三唱。いつまでも落ち込んでたって仕方ないもんね。

 実際のところは、現実感が微妙に薄いから、どう考えていいか分からないっていうのはあると思う。わたしは一度、考えることを放棄した。ていうか考えさせてもらえなかった。わたしの存在がどうのこうのより、トウヤとシイナの命のほうが圧倒的に優先度が高い。

 考えるなんて、後でもできる。悩むことも、落ち込むことも、怒ることも、絶望することも。生きてさえいれば、だけど。だから今は、とにかく生きようと思う。トウヤもシイナもいることだし。……いや、単純に死ぬのが怖いから生きたいってところはあるんだけど。

 けどまあ、生きる理由なんて、そんな程度でいいじゃないか。

 よく見ると、トウヤの目尻にも涙が浮かんでいた。きょとんとして、次にシイナを見る。シイナのほうも、同様だった。

 わたしにつられてしまったのかもしれない。もしかしたら、わたしには分からない何かを感じているのかもしれない。戻る場所がないのは、二人も同じだから。

「あーあー……ちょっと待って。目、こすっちゃダメだかんね」

「了解した」

 変わらない返事に笑って、バッグからハンカチを取り出して、トウヤとシイナの涙を順番に拭ってやる。

「……タカラ、これはナミダか」

「そーだよ」

「私にも、ナミダがあるのか」

「そらあるでしょー。トウヤが見たって言うイレギュラーも涙流してたくらいなんだから」

「……確かに」

「ナミダとは何だ」

「今シイナの目から流れてる水のことだよ」

「この水は何故流れている」

「それはいつかの未来に乞うご期待!」

「……ミライとは何だ」

 どっかでやった記憶のあるやりとりですね! シイナがトウヤを追いかけるようにいして成長しているのが分かって、少し面白く感じる。ただし同じ説明をこの短時間の内に繰り返すのは面倒だと思う。……まだ一日経ってないなんて、嘘みたいだ。

 そこでちょうど作業は終わってしまったので、そのうちね、などと言ってこの場は流すことにする。

 ハンカチを握った手を下ろして、果ての見えない青い空を見上げる。いい天気だ。

「――さて、と。どこを目指そうかね」

 このまま、ここに突っ立っているわけにもいかない。

 わたし達は、行かなくてはいけない。

 生きるのだから。

「とりあえず人がいるところに行きたいなあ」

 言いながら、スクールバッグからスケジュール帳を取り出して、ぺらりとメモのページを開いた。見開き使って、丸いような丸くないような、何だか分からない図がいくつか書いてある。見るひとには笑われるかもしれないが、自分が分かればそれでいいのです。

「タカラ。この図は何だ」

「地図。つまりこの世界を上空から見て平面化して小さくした図だね。書き写すのにだーいぶ簡略化したけどね!」

 ちなみにこれは、メインシステムエリアでマザーに頼んでモニタに出してもらった世界地図を書き写したものだ。ルーデル・ポリスに紙は必要ないらしく、マザー周辺にプリント機能はないという。エコか、エコなのか。

 トウヤにはもちろん、シイナにも見えるように、手の高さを腰の下辺りにする。

「わたし達が今いるのは、この辺なんだって」

 手書き地図の大陸の一つ、クラディス大陸の左上あたりを指でさす。

「この枠線の外側はどうなっている」

「どうって、そりゃ海でしょ」

「ウミとは何だ」

「え!? ……あ、ああ、そっか。ルーデル・ポリスには海なんてないもんね。……でっかい、水溜り? 塩っ辛い水だけど」

「……『シオッカライ』とは何だ」

「でーすーよーねー!」

 甘いも苦いも分からなかったトウヤとシイナだ。塩辛いとか言われてわかるはずがない。トウヤは現在知りたがり魂に火がついているようだし、塩辛いというのがどういうものなのかは気になるだろう。わたしも教えてあげたいが、言葉で表現するのは難しい。

「……うん、じゃあそーしますか」

「タカラ?」

「見に行くぞ、海!」

「……行けるのか」

「行くのさ!」

 大雑把すぎてあまり役に立ちそうにない地図をバッグにしまい、肩にさげていたそれを背負う。

 前途は多難。水はいくらか調達させてもらったが、食料はわたしが持っている一口チョコだけだ。海を目指すとは言っても、手持ちの水とチョコだけでやっていけるとは思えない。街など、ひとが暮らしていて、働いてお金を稼げるところを転々としながら進むべきだ。幸い、ここから比較的近くて大きめの街の方向をマザーが教えてくれた。野垂れ死にされてはつまらないとでも思われたのだろう。コンパスがないので、途中で道を間違えないという保証もないのが少々不安だが。

 目的があるなら、歩いて行ける。

「んじゃ、行くか!」

「了解」

 トウヤとシイナの返事を聞いて、歩き出す。なかなか視界から消えない白亜の外壁を時折見上げて、聞きそびれた事をぼんやり考えた。

 ……結局、このルーデル・ポリスは何のために作られたのだろうか。

 しかしそれもやがて遠くなり、きっともう二度と訪れる事はないだろうと、その疑問は思考の闇に沈める事にした。


 * * *


 ――ルーデル・ポリス中央塔十三階。

 ガラス戸が開け放たれたままの部屋に風が吹き込み、ほこりを散らし、ベッドのカーテンを揺らす。

 テーブルの上に置かれた日記の表紙が持ちあがり、ページが数枚ふわりふわりとめくれた。


『今日、メガネのおじさんとお話した。お花は平和の《しょうちょう》らしい。

 平和はいいことだと、前にだれだったかも言っていた。

 平和であれば、わたしみたいなこどもが、こんなことをしなくてもいいのに。

 その人は、たしか、そう言っていた。すこしさみしそうに見えた。

 わたしは今の生活が好きだ。

 毎日マシンのことを考えていられて、いじれて。まわりの人もよろこんでくれる。

 でも、平和がいいものなら。お花が平和の《しょうちょう》なら。

 みんながなかよくお花を育てて、生活できたら、いいのかもしれない。

 わたしも、きれいなお花は好きだし。


 わたしが大きくなって、およめさんになるころには

 そんな毎日だったらいいのかもしれない。』

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イレギュラーズ KOUMI @koumi

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