8話 対B組戦、開始



 異能戦当日。

 宝条学園に併設してある巨大な体育館――その中で、B組とD組がそれぞれ対面に立ちながら、互いに睨みを利かせていた。

 いや、睨んでいるのはD組だけで、B組連中はみんな示し合わせように不適に口角を吊り上げて、こちらを悠々と見据えていた。

 なめられているのだ、完全に。

「ふむ。全員揃ったようだね」

 B組委員長、一ノ宮銀次はぐるりと全体を見回し、余裕綽々と言わんばかりに腕を組みつつ、口火を切った。

 銀次に言われ、御影も触発されたようにそれとなく周りを眺める。

 B組とD組は体育館の中央――複雑な紋様が書かれている陣の中で、ちょうどすっぽり入る形で収まっている。紋様は架空フィールドへ転移するための特殊な陣で、言わばここが入り口となるのだ。

 体育館自体は授業(普通にスポーツだったり武道の稽古だったり)で幾度となく足を運んでいるが、こうして改めて見ると実にでかい。一般的な学校の体育館よりも倍近くは普通にあった。



 ――宝条学園って、言い換えれば軍事学校みたいなものだし、別段奇妙ってわけでもないけれど。



 ゲートの向こう――または内側から来襲する異形を捕獲ないしは殲滅を想定した教育機関なだけあって、規模が想像の範疇を超えている。目の届くところにはないが、奥に設置してある扉には銃器や刀が保管されているので、宝条学園がいかに一般校より逸脱しているのが、ありありと実感できる場所でもあった。

 銃器や刀といっても、実際に演習などで使う機会はそれほどない。宝条学園はあくまでも異能力者を育てるところなので、そういった武器はいざという時――たとえば異能が使用できない状況下などのための保険でしかない。

 しかしながら、いついかなる時でも武器を持って戦えるだけの準備がしているあたり、如才ないというか、一筋縄ではないいかない学園であった。



 ――備えあれば憂いなし、ではあるんだろうけれど。



「ぼくらB組を前によそ見をするだなんて、本当にいい度胸だね。いや、あるいは無神経と言うべきなのかな?」

 と。

 御影が体育館を見渡していると、不意に銀次がそんな憎まれ口を叩いてきた。

「君らを見ていると、呆れを通り越して尊敬の念すら沸いてくるよ。さすがはD組と言った感じかな? その呑気さを少し分けてほしいくらいだ」

 先頭に立つ銀次の皮肉に、B組の輩がクスクスと嘲笑を漏らしながらD組を見やる。

「ああ、ごめんごめん。眼中になくてつい、ね」

 売り言葉に買い言葉といった態で、御影は物怖じする様子もなく平然と言ってのけた。

「言ってくれるね……」

 御影の返しがよほど気に食わなかったのか、それまでの卑しい笑みを急にひそめて、銀次は憤った双眸を向けて忌々しげに呟いた。

「ぼくらに楯突いたりせず、始めから素直に謝罪していれば、恥を見ずに済んだものを……」

「それこそ恥でしょ。戦いもせず諦めるなんてさ」

「ずいぶんな心意気だ。どうやらD組の委員長は戦力差というものをまるで理解していないようだね」

 遠回しに馬鹿だと言われた。



「ちょっと! いくらなんでも高坂くんに失礼よ!」

「そうだそうだ! 厚顔無恥な高坂だって傷付いたりするんだぞ!」

「卑劣漢で冷血漢な高坂に謝れ!」



 遠回しに馬鹿と言われるより、直球で失礼なことを仲間に叫ばれた。

「ふはは! 委員長思いな素晴らしいクラスメイト達じゃないか!」

「どうも……」

 呵々大笑する銀次とは反面、苦々しい笑みを浮かべて御影は言葉を返す。

 まあいい。今はたっぷり油断させておくとしよう。その方が、こちらとしても好都合だ。

 だが、その前に。

「みんな、月のない夜を歩く時は気をつけてね?」



「ひぃ!? 高坂がドス黒い笑みを浮かべてんぞ!?」

「この世の終わりだわ!」

「むしろそのセリフをB組の連中に言ってやれよ!」



 御影の剣呑な雰囲気に、D組のみんなが戦々恐々と肩を震わす。去年の長時間に及ぶ説教タイムがまだ尾を引いているらしい。

 のちに、D組生徒達はこう述懐している。

 あれは人ではない。紛れもなく悪鬼であった、と……。

「今から異能戦だってのに、締まらねぇよなあ、うちのクラス」

「そんなん今更やでトラくん。D組が黙って大人しくしとるわけないやん」

「だな。異能戦を挑まれたって知った時も、こんなお祭り騒ぎだったし」

「ほんまやったら、もっと狼狽えるべき場面やろうにね」

 ちょうど、御影の真後ろにいる虎助と美々奈が、騒ぎ立てるクラスメイト達を見渡して、およそ緊張なんてものを感じさせない会話を交わしていた。クラスメイト達もだが、この状況下で堂々と構えている二人もけっこう大概だと思う。

「けど、ある意味俺達らしくていいのかもな。自信があるわけじゃないけれど、この日のためにできることは全部してきたわけだし」

「せやね。みんなもそれが分かってるから、今になってじたばたしてもしゃあないって思うとるんやろな」

「D組ってだけで馬鹿にされ続けた鬱憤を晴らすために」

「最底辺でも上辺に敵うんやって証明するために」

「そうだろ?」

「せやろ?」



「ミカ」「ミーくん」



 その言葉に。

 御影は万感の思いを込めて、こう返した。



「もちろん」



「……なにやら勝手に盛り上がっているようだけれど、ぼく達のことを忘れないでいただきたいものだね」

 御影達のやり取りに苛立ちを覚えたのか、銀次はパタパタとつま先で足踏みをしつつ言葉を紡いだ。

「最終確認だ。そちらが勝てば規定通りにB組の誰かから異能をコピーさせる。そしてぼくらが勝てば――」

 ビシッと御影の横に並ぶアインを指して、銀次は告げた。

「そこのアイン嬢を我がB組に譲ってもらう。構わないね?」

「………………」

 銀次の言葉に、なにも応えず閉口するアイン。

 単純に考察すれば、D組からB組に編入できるのはむしろ喜ばしいことのはずなのだが、よほど銀次を嫌っているのだろう、アインは不快げに柳眉を曲げて視線を尖らせていた。

 当初の予定では、もっと卑劣な要求をしてくるものと思っていたが――それこそ、アインを無理やり恋人にしてしまうとか――想像していたよりまともな方で少し拍子抜けだった。

 とは言え、B組に移れば毎日銀次と顔を合わせなければならなくなるし、アインにしてみれば苦痛以外のなにものでもないのかもしれないが。

 とりあえず、アインの憮然とした反応を肯定と捉えた御影は、

「その条件で問題ないよ」

 と話を進めた。

「ふふ、待っていてくれたまえ囚われの姫よ! 今ぼくが君を救いだしてみせるから!」

「………………」

 銀次の気取ったセリフに、やはりアインはなにも返事をせず、薄目になって相手を威嚇する。

「さて、確認も済んだところで、そろそろ始めるとしようか」

「そうだね」

 言って、銀次と御影は互いに陣の中止と歩み寄り、それぞれ拳を作って片腕を突き出した。



『フィールド、展開!』



 二人が声を合わせた直後。

 溢れんばかりの眩い光が陣全体に広がり、真白に視界を染め上げた。




 架空フィールド。

 元々はゲートを人為的に開く技術を応用し、主に異界取締菅達の訓練場として作成されたものなのだが、昨今では街中での戦闘も想定できるよう、改良がなされている。

 架空フィールドが作られて間もない頃は、全方位なにもない――方角すら存在しない空間だったのが、今では街や海岸といったあらゆる場所をトレースできるようになったことで、飛躍的に訓練の幅が広がったのは、人類史における画期的な進歩といって過言でもないだろう。

 宝条学園も例に漏れず、異能戦と呼ばれる競技でも大変重宝され、今日こんにちも生徒達の成長を促すために貢献している――。




『みんな、準備はいい?』

 学園全体(もっとも架空世界ではあるが)に響く御影の声。

 その声は、学園各所に設置されたスピーカーから発せられていた。

 先攻側は後攻側よりも先に架空フィールドへと到着した後、十分間の自由時間を与えられているわけだが、同様に十分間だけであれば放送室のマイクを経由して、携帯端末などから直接呼びかけることが可能となっている。無論、放送室から直接呼びかける策もあるし、そうなれば制限時間の縛りもなくスピーカーを使用できるのだが、後攻側が行動を開始すれば場所が知れてしまうし、放送室に留まる人間など極少数だ。

 ご多分に漏れず、御影もとある地点から携帯端末でD組のみんなに呼びかけているのだが、体育館での騒がしさが嘘のように、学園全体が息を潜めたように静まり返っていた。



 響くのは、D組委員長で司令塔でもある御影の声だけ。

 一字一句聞き漏らすまいと、各々が指定の位置に着きながら必死に耳を傾けていた。



『残りあと一分。なんだかんだ言ってみんな緊張しているだろうから、これだけは言っておくね』

 D組の生徒それぞれが高ぶる気を鎮めようと呼吸を整えている中で、御影はやにわに話を切りだし、こうのたまった。



『ダメで元々』



 はっきりと、みんなの耳だけでなく心にまで届けようとしているかのような、普段の御影にしてみれば強めの語調であった。

『僕らはD組なんだ。今さら気負う必要なんて微塵もない。元より玉砕覚悟なんだから』

 D組――これまで幾度となく侮辱された呼称。

 しかしそれも、この時になってみればこれほど落ち着く言葉はない。

 ダメで元々。玉砕覚悟。始めから負けると思って戦えば、恐れるものなどなにもない。



『底辺を知らない上の連中に、最弱の底力を見せつけてやろう!』



 おおおおおおおおおおおお!!



 D組の雄叫びが、学園中に轟いた。



 ◇◆◇◆



 とある教室にて、二人の女子生徒が一人の男子生徒の両隣りに並んで陣取っていた。

 教室の中央にいる男子生徒――二年B組の委員長である一ノ宮銀次は、椅子の上で優雅に足を組みながら、クラスメイトからの吉報を待っていた。

 異能戦が開始してから、すでに十分以上経過している。隣りにいる女子生徒は五つある内の携帯端末の一つを所持しており、仕切りになにごとか話していた。

「進捗具合はどうだい?」

「私達以外はみんな一ノ宮くんの指示通りに個々で転移してもらったけど、一部連絡の取れない人もいるみたい」

「構わないさ。狙われたところで、どうせ手も足も出せるはずがない」

 銀次は泰然自若とした様相を一切崩さず、卑しく口許を弧に象った。

 銀次の作戦はこうである。

 まず始めにクラスメイト達を個々にバラし、それぞれ行き着いた場所でD組のザコどもを蹴散らせていく。途中で大将である御影を発見したら、その場で倒してしまってもいいが、できたら泳がせておいて、他の仲間をおびき出し、撃破していく。



 銀次が目指すのは、文句なしの完全勝利。

 今後二度と反抗できないよう、徹底的にD組の輩をなぶって、屈辱の限りを味わせてやることだ。



 念のため、相手側の奇襲に対応できるよう、銀次だけグループを作っておいたが、D組なんぞにここまで防衛線を張る必要はなかったかもしれない。制限時間内に全滅できなさそうであれば、こちらの人手も向かわせるつもりではあるけれど。

 実のところ、最初は自分も出陣しようと思っていたのだ。だが、

「大将自ら出てどうするの。他の子達の気を散らすから大人しくしていなさい。目障りだから」

 と、隣りで携帯端末をいじる少女――郡山こおりやま天理てんりに諌められたのだ。

 さすがは氷の女王と言われるだけあって、委員長である銀次に対しても一切容赦がない。おかっぱ風の黒髪にレトロなメガネといった、戦前の日本人のように奥ゆかしい姿をしておきながら、吐き出される言葉は毒たっぷりなのであった。

 というより、万事だれでもこんな辛辣な調子なので、別段銀次も気に止めていない。むしろこの表を飾らない明け透けな態度がいっそ清々しい。それに文句を付けながらも非常に面倒見が良く、また尖ってはいるが文句なしの美人なので、B組内でも慕う人は存外多かった。ちなみに、銀次もその一人だったりする。



 ――まあ、アインくんの魅力には負けるがね。



 天理もアインも、クールという意味では同じであるが、しかし本質は違っている。

 天理があだ名の通り氷のように例えるなら、アインは金属のような冷たさだ。

 冬の冷気でも徐々に溶けていく氷とは異なり、金属は常に冷たさを保ちながらも形状を変えることはない。変化を拒絶するかのように。

 さながらガラスケースに保管されているダイヤモンドの彫刻がごとく、アインという少女は実に完成された美を体現していた。

 そんな至高の芸術品を見せられて、男ならば手を出さずにいられようか。



 ――必ず君を手に入れてみせるよ。アインくん。



「あんまりニヤニヤと笑わない方がいいわよ。気持ち悪いから」

「相変わらず、手厳しい意見だねぇ」

 オブラートにすら包まない直接的な揶揄に、銀次は微苦笑しながら天理に応える。

「あらためて注意しておくけれど、勝手に参戦したらダメよ。一ノ宮くんの異能はD組相手だと相性が悪いんだから」

「そこまで警戒する必要あるのかい? 相手はたががD組だよ?」

「D組だからよ。一ノ宮くんの『異能封じ』は、今回に限っては使い道がない。はっきり言って、あなたが戦闘に参加しても結果的にはなにも好転しないわ」



 銀次の能力――それは『異能封じ』の呼称通り、相手の異能を一定時間だけ封じる能力なのである。



 話だけ聞けば――相手が強力であれば強力であるほど絶大な効果があるように思えるが、逆に言えば異能の力が大したことない場合など、さほどの真価を発揮できないのだ。特にD組のような低脳集団になると、わざわざ封じる意味すらなくなるのである。

 しかも、発動するには相手のそばで手を打ち鳴らすといった手間が生じる。仮に異能を使う機会があったとしても、そういった隙を突いて襲撃される危険性すらあった。

 元より向こうは異能だなんて当てにしていないだろうし、天理の言う通り、下手に出張ったら戦況に混乱を招くかもしれない。委員長である銀次が不用意に前に出ては、クラスメイト達も集中できなくて戦いづらくなる岳だろう。

「だからこそ、D組戦においてあなたの出番はないのよ。自重しなさい」

「心配しなくとも、ぼくは武道にも秀でているし――異能が使えなくても十分に戦えるのだけれどね」

「バカね。武道といっても授業でやる訓練か、もしくは護身術程度でしかないじゃない。条件は向こうも同じ、取り囲まれでもしたら、もやしっ子のあなたなんてすぐKOよ」

「問題ないさ。仮にそういう状況に陥ったとしても、君が助けてくれるのだろう? 『切断』の天理くん」

「………………」

 銀次の信頼しきった瞳に、天理は愛想なくそっぽを向いた。



 天理の異能『切断』は、どんなものでも両断する力を持っており、それが人体であれば一撃で命を奪えるほどの恐るべき威力を誇っている。



 もっとも、素手で触れられる範囲でしか切れないので、使い勝手はさほど良くない。銀次同様、集団で取り押さえられでもしたら、それだけで対処の仕様がなくなるのである。特段身体能力に優れているわけでもない天理は、異能さえなければ非力な少女でしかない。

 だが、『切断』の能力はそれだけでも相手を萎縮させる。素手で触れられる範囲とはいえど、その両手は鋭利な刃物となんら遜色ないし、首を狙われでもすれば、命を奪う前に学園側が即急に対象者を回収――学園としても、無駄に無意味に貴重な人材を減らしたくはないからだ――する規定となっているので、戦力を削ぐことにも繋がってしまう。そうでなくとも、一歩間違えれば体の一部を失うかもしれないし、無鉄砲に飛び出すバカな奴などそうはいないのだ。

 無論、相手が『切断』の能力を把握していたらという前提の話になるが。



 ――ま、去年一度だけやった異能戦でも見せなかったし、D組の連中が知っているとは思い難いがね。



「期待するのは自由だけれど、当てにされ過ぎでも困るわ。私はあなたの護衛でここにいるけれど、尻拭いまでするつもりはないわよ」

「もちろん承知しているさ。そしてそんなつれないことを言いつつ、窮地に立ったら必ずぼくを助けてくれるだろうことまでもね!」

「うざっ……」

「あのあのあの!」

 心温まる愉快な会話(銀次談)をしている最中、銀次から見て左隣りにいる女子生徒が――名前は忘れたが、確かC組からB組へとクラス替えした生徒だったように思う――落ち着きない挙動で声をかけてきた。

「本当にこのまま待機でいいんでしょうか? わざわざ自分達が在籍しているB組の教室を拠点にするだなんて……」

「不安になる必要はないさ。これは罠でもあるからね」

「罠……ですか?」

「敵はおそらく真っ先に一ノ宮くんを狙ってくるだろうから、あえて分かりやすいところにいるのよ」

 女子生徒の疑問に、天理が銀次に代わって説明を始める。

「そうして、羽虫のように集まってきたD組の連中を、近くに控えている少数の仲間が一網打尽にする。前もってみんなに説明していたはずなのだけれど、ちゃんと話を聞いていなかったのかしら?」

「はひぃぃぃぃ!? すみませんすみません!」

 天理に冷たい眼差しで射竦められ、女子生徒は跳ね上がるように頭を下げ倒した。

「でもでも、それなら校庭で正々堂々戦うって方法はダメだったんでしょうか? 相手がD組なら私達B組全員でかかればあっさり勝てるのでは……?」

「そうなると乱戦になってしまうのは必死だし、さっきも言ったけれど一ノ宮くんの異能だけだと相手の攻撃を防げないから、どさくさに紛れて運悪くやられでもしたら笑い話にもならないわ。D組は異能が最低レベルな分、手段を選んでこない諸刃の剣じみた危うさも少なからずあるから、おいそれと姿を見せるのもかえって危険なのよ」

「それになにより、美しいない。泥臭く勝つより、権謀術数を用いてやつらを完膚なきまでに駆逐した方がパーフェクトにビューティフルだ」

 ほへー、と感心したように女子生徒がまなじりを上げる。銀次としてもカッコいいセリフが言えてご満悦だ。

「とにかく、片方は遊撃。もう片方は相手を出迎えて討つ。これで一ノ宮くんの望む通りに進むはずよ」

「うむ。完璧な布陣だね」

 満足げに頷いて、銀次は悠々と足を組み直す。

 懸念があるとすればアインの動向くらいだが、いくら彼女が生徒会長すら一目置くだけの実力を持ち合わせていようとも、B組すべてが相手ともなると太刀打ちできないだろう。

 悲しいかな、優れた力も無能どもの中では霞んで見えてしまうのだ。



 ――だが悲観することはない。ぼくがすぐにでも君を本来いるべき場所に連れて行ってあげよう。



 アインが泣きながら感謝する様を夢想しながら、銀次は心中で高笑った。


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