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パラレル展開「海へ行く」

『庭師とその妻』
海へ行くエピソードを更新中です。

昨日は「その2」を公開しました。
https://kakuyomu.jp/works/16816410413938179619/episodes/16817330647717061302

旅行先へ行くと、意外なことを思い出したり、いつもとは違うことを話したり。
そんなお話です。


この汽車に乗って海へ行くエピソードは、『庭師とその妻』初期構想から何回か書いています。
今回、執筆にあたって草稿を掘り起こしたところ、変遷が見えたので、自分用備忘録も兼ね、まとめておきます。

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本当に初期の初期、この物語の原型になった殴り書き

プロローグでは、若くして亡くなったふたりが死の直前、汽車に乗る幻を見ている。
苦難続きの自分たちの人生は幸せだったのだろうか? と問う中で、人生をさかのぼっていく。
彼らにとって、汽車に乗って海へ行ったことは数少ない心穏やかな思い出。
ラストは浜辺ではしゃぐふたりの声が次第に遠のいていっておしまい。
時代設定が曖昧だったので、ユメリアは浜辺で白いワンピースとか着てる。

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街に出る構想を考えた後、断片的に書いたもの

街に出たナギは、武力が得られればユメリアを守る方法が増えるというわけでギャングになって、上を目指す。
が、ユメリアには自分の職をはっきり言わないでいる。
気づいて苦しむユメリアに、ナギが「俺のことを思うなら、黙って笑っていてほしい」と言ったことで、ふたりの関係は煮詰まっていく。
ユメリアは外が怖くて出られないまま。
ナギも彼女を守りたいので、積極的に外へ出そうとはしない。
「お屋敷から別の鳥かごに連れてきただけでは」とナギは内心思っている。
そんななか、休暇を取ったナギとユメリアは海へ行き、つかの間打ち解け合った時間を過ごす。
が、ナギの仕事のことにだけは触れられない。

このパターンだと、オリバーやサーガのくだりを挟んでいないので、ロマノフスカヤ時代からそんなに時間が経ってない感じ。
ゲルバルドもジュディも出てこない。
ナギは振り切れているので、ユメリアの安全のためなら手段を問わない。

ユメリアは精神がぐらぐらしているので、ときどきナギを「庭師さん」と呼んだりしている。

ナギは組織内での地位が上がり、外で女に言い寄られることもしばしばあり(性格的に浮気はしない)、「ナギさん、ときどき香水のにおいがしてる」とユメリアがすねるシーンがある。

ナギは金はあるけど、ユメリアは豪遊を喜ぶタイプではないので、海辺ではあえて小さな宿を取る。

海のくだりの描写のあと、今後の展開メモとして、「ふたりは抗争の中で死にます」と書いてある。

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なんだかいずれも死!!!!! って感じですし、いまでは考えられない描写があり、ふたりの関係性も違います。
「別の構想」というよりは、ナギ君の人生にはっきりとした分岐があったため展開が変わったのでした。

そんなこんなでいろいろと移り変わってきた『庭師とその妻』なのでした。

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