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百合小説「潮愛」最終章へ入ります

*この近況ノートには「潮愛」の「泥の中で呪い合う」部分までのネタバレが若干含まれています。もう読んだ人・気にならない人はそのまま読み進めてください。



いつもありがとうございます、白金です。

連載開始からおよそ3ヶ月、ついに潮愛が最終章に突入します。入水自殺を試みようとした朱里を澪が止めてから、作中ではおよそ一ヶ月にわたって二人の濃い関係が描かれましたね(作者はそう思って書いています)。二人の間の甘いやりとりと、その周りに広がる陰鬱とした空気感をじっくりねっとりと書き続けてきたつもりです。

二人の出会いと"親友"になるまでを記した「馴れ初め」、そこから甘い関係へ発展する「定期試験」、厳しい現実と二人の願いが混ざる「泥の中で呪い合う」――最後、二人の家出から後は、最終章「運命の人」で記されます。長らくお付き合いいただけてる方たちが読み終えて満足するよう、しっかり物語を練って最後まで丁寧に書き進めたいと思います。


さて、ここからは物語の外側の話になります。
作者である私、白金は小説のアイデアの多くを音楽鑑賞中に得ています。具体的には、その曲を聴いていると頭の中で映画の予告編みたいな映像が流れてくる、というイメージです。これを読んでいる人でも、自分が書いた小説のテーマソングをなんとなく持っている人もいるのではないでしょうか。

最初は、数年前に公募小説を書き始めるためにとった方法でしたが、今では作品全体の世界観を保つために必要不可欠なものになっています。いい機会だと思うので、最終章を読み進めるにあたり、作品の世界観を構築した名曲たちに触れてみてください。


【馴れ初め】
・運命の人 (スピッツ)
「走る 遙か この地球の果てまで 悪あがきでも 呼吸しながら 君を乗せて行く」
元からスピッツの曲はよく聴いていた身ですが、この小説を書くにあたって決定的なイメージをもらったのがこの曲でした。連載で女子高生の百合を書きたい、海が舞台ならなおいい……なんとなくふわふわしていたイメージがこの曲を聴いた瞬間にカッチリと固まって一つの映像になったのです。コンビニの前で座って他愛もない話をする二人、図書館で机を間に向かい合う二人、自転車で海沿いを走って図書館へ向かう二人……それらは全て、この曲を聞いている時にイメージが生まれました。
最終章のサブタイトルも、言葉そのままの意味に合わせて、この曲に引っかけた狙いもあります。


【定期試験 / 泥の中で呪い合う】
・HANABI (Mr.Children)
「君がいたらなんていうかなぁ 「暗い」と茶化して笑うのかなぁ」
言わずもがなの名曲ですが、この曲は物語序盤~中盤の澪と朱里の距離感をイメージするためによくお世話になっていました。歌詞全体で明確に「好き」という言葉が出てこないため、関係がまだしっかり決まっていなかった(だけど相手のことが気になりつつある)二人に当てはめることができたわけですね。
最近はもう、この曲を聴く度に頭の中でデュエットしてる彼女たちの姿が浮かんでくるようになりました。もう一回、もう一回……あの二人の場合、それはなんのことなんでしょう?


【最終章:運命の人】
・ロビンソン (スピッツ)
「誰も触われない 二人だけの国 君の手を離さぬように」
家出というのは、かなり広義的に見れば旅の一つです。もっと言えば、当事者にとっては「冒険」のニュアンスも強くなります。この曲は歌詞の解釈で一騒動あった過去を持ちますが、作者的には様々な解釈のもと数々の世界を作り上げることができる素晴らしくフワっとした(固まりすぎていない)歌詞だと思っています。
この近況報告を書いている現在、彼女たちの家出がどのような結末を迎えるかについてはほとんど決まっていません。でも浮かんでくるんです。屈託のない笑顔を浮かべる二人が自転車で並走している光景が……


以上、ちょっとした音楽散歩でした。ちなみにスピッツとミスチルは作中でも朱里ちゃんが聴いていた曲です(「scene13: 空に雨雲、教室に嵐」のワンシーン)。どれも素晴らしい曲ばかりなので、これを機に、澪ちゃんと朱里ちゃんの旅路に思いを馳せてみてくださいね。

次回「潮愛」の更新は来週の金曜日です。実生活でいろいろありますが、なんとかしぶとく生きていこうと思います。ではでは!

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