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『ハーフ&ハーフ3』通信 VOL.3.5 ~ちょっと一休み企画~

 今回の番外編はですね、いわゆるオネェキャラクターにチャレンジして頂こうかと。前回でお題キャラクター募集しましたが、参加してくれた方ありがとうございました!ちょっとづつ要素を足してお題キャラクターとしました。

 とはいえ、なかなか難しいかもしれない。
 お題もかなり書きづらかったし。ということで、息抜き的にショートで参加してもらえると嬉しいかなと。

 漫画・アニメでも結構魅力的なキャラクター出てきますよね。
 ワンピースのボンクレーとかイワンコフ
 ドリフターズのサンジェルマン
 バサラの帰蝶とか、かなぁ。
 なんかいろいろいると思うんですが。
 これもなかなか登場させづらいし、書いたことなかろうと。

 最近なにかとセンシティブなジャンルではありますのでノートのみ企画で。



 お題『男気溢れるオネエ系コーチ』


「当り前ですが人はみな同じではありません。いろいろなタイプがいます」

 天使の笑みを浮かべて上役はそう告げた。

「……個性的であることは大事なことです」

 それから目の奥に悪魔の炎をちらつかせて続けた。

「同時にさまざまな個性を認めること、これが何よりも必要とされることです」

 なんかいつもと様子が違う気がする。
 言ってることは至極当たり前の事、それだけに次の顧客がどんな人なのかより警戒してしまう。

「あの、かなり特殊な方なんでしょうか?」
「一言で説明するのは難しいですね。職業はフィットネストレーナー、しかし生徒が少なく今はヨガとピラティスの勉強をしているそうです」
「なんか普通の方のように聞こえますが?」
「ええ。社交的で明るく、気取らない性格。ストイックな美の追求者でもありますね」

「むしろ楽しみになってきました、お会いするのが」
「頼もしいですね。では回収をお願いしますよ、くれぐれも〈彼〉の機嫌を損ねないように」

「彼?女性じゃないんですか?」
「まぁ会えばわかります。先入観というのは目を曇らせるものですからね」

 なんかいつもと様子が違うのが、どうも引っかかる。
 かくしてわたしは憂鬱をずるずると引きずりながら、今日も顧客のもとに足を運ぶのだった。


 ~お題ここまで~

 追伸
 出っぱなしさんのネーミング企画のご参加ありがとうございます!

13件のコメント

  • 🚩回答編

    「あら。時間通りに来たわねェ、関川さん」
    「はぁ、まぁ仕事ですからね、加濃さん」

     ボクはいきなりその圧に押されていた。
     背は僕よりも高い。きめの細かい肌と、長い髪、きつめ化粧だが見とれてしまうような美貌、それになんかいい香りがする。

    「とりあえず、立ち話もなんだから上がっていきなさい」
    「いや、ここで結構ですよ。回収したらすぐ会社に戻らないといけないので」

    「あのね、食事の誘いは素直に受けるものよ。それともアナタ、人の握ったおにぎりは食べられないタイプ?」
    「いや、そんなことはないです」
    「だったら尚更。特製のカレーを作っておいたのョ、一緒に食べましょう」

     にっこりと笑った表情はなんとも妖艶だ。
     なんとなく素直にうなずいてしまう。
     そういう魅力が、彼、いや彼女にはあふれていた。

    (だったら商売だって繁盛しそうなものなのに……)

    「さて、アタシが丹精込めて作り上げたカレーよ、召し上がれ」

     そう言って真っ白い大きな皿に盛られたカレーがテーブルに置かれる。
     なんか妙だ……ピーマンとトマトが丸ごと入ってる。
     なんかニワトリの足みたいなものとか、眼球みたいなものとか、見たことのない骨格標本とかいろいろ入ってる。

    「い、いただきます……」

     アカン!アカン奴や、コレ!
     なぜか心の声が関西弁にすり替わる。

    「どぉ?美味しいでしょ。美味しいものしか入ってないんだから。生徒さんにも大人気なのよ」
     そう言って妖艶なウィンクを浮かべている。
     そう言いつつ、ペロリと、しかもおいしそうにスプーンを口に運んでいる。

     これが先入観だったか!
     天は二物を与えず、アンタの言うた通りやった!

     それでも私は食べた。
     全身がこのカレーが体内に入ることを拒否していたが、それをなだめすかして食べた。

     スピード勝負や。味が脳に伝わる前に胃袋まで届ければええのや!

    「やっぱり若い人って食べっぷりがいいわね、お代わり持ってきましょうね!」

     そうやった……こんな食べ方してればそう見えるやん!

     かくして私は後悔と憂鬱を引きづりつつ、特製カレーを黙々と食べるのであった。

     回収?

     アカンわ、そんなん出来るワケないやろ! 
  • 関川さん、思わず関西弁になるほどの衝撃だったんですね。

    カレー……去年のお題を思い出す料理です(しんみり)。
  • 鶏、そのまま煮たのか……?
    魔女もびっくりのカレーですね。

    男気溢れるオネエ系コーチ。おそるべし。


    出っぱなしさんのネーミング企画、終わってしまったのでしょうか?
  • こんにちは。
    おネエも描いたことなかったです。。ワインのネーミングと併せて回答編を。
    📞 📞 📞
    「いやン、仕事中よ。ここには来ないでって言ってんじゃない」
    艶のある声で女は言った。いや、男かもしれないが、どっちでもいい。
    涼しげな目もと、すっきりした鼻梁にぷっくり朱い唇。顔は文句なしにいい女だが、首から下は惚れ惚れするほどの筋肉美。上と下とがみごとなまでにアンバランスだ。
    「奇遇だな。わたしも仕事中なんだ。悪いがこちらを優先させてもらおう」

    彼女の名は、大空ビバ☆リン。
    「ヴィヴィアン!」
    小柄なトレーナーを呼んで、
    「ごめんネ、ちょっとお願ぁい」
    と生徒たちを託した。

    案内された控室でまず目についたのは、テーブルの上にワインボトルが半ダース。ラベルには『雪降る里の楽苑 メルロー2024』とある。
    「気になるの? じゃあ飲んじゃおっか?」
    「……仕事中じゃないのか?」
    「ンもゥ、細かいこと言ってんじゃないわよ」
    どこから出してきたのか、大ぶりのワイングラスに注ぐ。
    「このワイナリーね、おススメよ。馴染みのコがやってるの。いいものつくるためには元手はいくらでもあった方がいいじゃない? だからちょっとだけ支援したんだけど、甲斐があったわ。このワイン、傑作よ」
    なるほど、そのための借金か。
    ワインはたしかにいい出来だ。馥しい香りが鼻に抜ける。

    「さて、大空さん」
    「あン、ビバ☆リンって呼んで」
    「…………ビバさん」
    「なあに?」
    上腕二頭筋で胸を寄せながら首を傾げる。みごとに膨らんだ大胸筋がシャツからちらつく。
    「支払い期限は今日だ」
    「あれぇ、そうだっけ? いっけなぁい。やんもぉ、うっかりしてたわ。お店がハネたら真っ先にお金おろして払うわ、ね、今はゆるして?」
    上目遣いに懇願する。妙な色香を発散させて。そこらの女より、よほど女らしい。
    「……今日じゅうに払ってくれるならそれでいい。何時だ?」
    つい手加減してしまったが、色香に迷ったわけではない。ないと思う。
    「ありがと。海棠さん、あなた親切ね」
    彼女はうっとりするような笑みを浮かべた。背中がぞくりと疼くのを、わたしは気のせいだと思うことにした。

    他人の趣味や人生観や性的指向に、とやかく口出しするつもりはない。わたしにとって、人は常に二種類しかない。金をきっちり返す奴と、返さない奴だ。
    だから彼女に言うことは本来なにもないのだが、名前だけは、考えなおした方がいいと思う。ビバ☆リンって……。
  • 小烏さん、こんばんは!
    突如としての似非関西弁パターンは好きなんですよ(笑)
    去年のカレーもなかなか苦労しましたね!
  • 一帆さん、こんばんは!
    オネェキャラクター、書いてみるとホント難しいなと(笑)
    出っぱなしさんのネーミング企画はとくに期限はないのです。どこに書いていても、きっと出っぱなしさんは見てくれるはずです。たぶん朝方の時間に。
  • おお、久里さん、参加ありがとうございます!
    ちょっと難しかったですよね、このキャラクター(笑)
    ビバ☆リンさん、色気とはじける明るさがまさにいい感じです。こういうのですよね、オネェキャラクターの良さって。しかし外見はごついというのもポイントですね。

    さらにワインネーミング絡めたのもさすがでした。
  • 🐤回答編、出来ました!
    (ギャルはしばらくお待ちください<m(__)m>)

     ◇

    『男気溢れるオネエ系コーチ』江戸編
    ~数馬 恩を買う~

     ◇

     「よお。邪魔するぜ。」

     ワシは深い紫に染められた暖簾をくぐった。
    ここは芝居小屋の近く、芳町にある陰間茶屋だ。
    よい子は来ちゃいけねえぜ。

     「あ、狐太さん。
    数馬さん?」
    「ああ、いるかい?」

     今年12歳になる陰間の左近が着乱れた着物をそのままに廊下をやってきて、可愛らしく頷いて左手にある部屋を指さした。
    まあそのふっくらした指の白ぇこと。
    日に当たらないで育つこうなるんだな。

     「ありがとよ。」

     ワシは声をかけて帳場の左手にある小部屋の襖を開けた。

     「あら、コンタさん。
    今日はなに?
    あ、言わなくていいわ。
    あれでしょ?
    ウンの回収なんでしょ。」
    「いや運じゃなくて、恩、な。
    あとコンタじゃなくて、狐太な。」

     おっとりとしゃべるこの数馬も元は陰間。
    普通は二十歳でお褥下がりなんだが、数馬は十八のとき体が大きくなり過ぎたのを理由に陰間をやめさせられた。
    確かにワシより背が高い。
    しかも相撲取りのようにゴツイと来てる。
    ただ、おつむはいいし客あしらいもいいんで宿の女将の口利きで帳場に雇われた。
    たいていの陰間はそのまま女相手の男娼になるしかないんだから、まあ運がいいって言えるかもしれねえな。

     今日も重たげな分銅をあっちにやったりこっちに置いたりして大汗をかいている。
    そんなことをしてるから大きくなったんじゃねえかと思うんだが、これをしねえと体がおかしくなるんだそうだ。

     「なあ、この前は竹刀振り回してたろ。
    剣術でも始めたのかい?」
    「あら、やだ。そんなわけないじゃないですかぁ。
    あ・れ・は、護身用。
    最近変な客が増えたからね、うちの子たちを護らないと。」

     小首をかしげる数馬はゴツイ体を見なければ芝居の女形のようで、言っちゃあなんだが煮売り屋のお久より色っぽい。
    陰間をやめた後芝居に戻る話もあったが、ここに残ったのには何か理由があるんだろうな。

     「はい、これ。」

     桑の実色の階段箪笥の引き出しから藤色の小さな風呂敷包みを取り出して、数馬はワシの前にそっと置くと綺麗な所作で頭を下げた。

     「来月もどぉぞ、よろしくお頼もうします。」
    「ああ、丁寧にすまねえな。」

     この包みにはいくばくかの金子と、店の子の名前を書いた札が入ってる。
    数馬は陰間たちに身をひさぐ以上の不幸が訪れないように、毎月稲荷に願掛けしてやがるんだ。
    その中には数馬の名前はねぇ。
    そうして自分は花房山稲荷まで出ては行けねえからとワシを呼ぶ。

     ワシは、オサキ様に包みを渡す時いつも悲しくなっちまうんだ。
    札に数馬の名も書きてぇなぁ。
    あいつ、いいヤツなんだよ。
    オサキ様に言うと、

     「馬鹿だねぇ。媛様はちゃんとご存じだよ。」
    って言われるんだけどよ。

  • 霧野です。 オネエキャラは大好きです。今回は自作に登場していないタイプのオネエを書いてみました。

    🍻

     指定の場所は、クッソおシャレなカフェだった。時計を見れば、時間ギリギリ。

    「お待ち合わせですね?」
    「あ、はs……いえ、濁沼です」

     遠回しに「場違いな客ね」と言われた気がしたが、わたしは黙って店員の後について行った……けど………あれ? まさか、あの人? じゃ、ないよね?

     案内された席には、尋常ではないオーラを放つクールビューティーが微笑みながら片手を上げている。わたしはふわふわと雲の上を歩く心地で席に辿り着き、どうにか向かいの席に腰掛けた。なんだか忘我の境地だが、チクチクと肌に刺さる周囲の視線でなんとか正気を保つ。

    「今日はお呼びたてしてしまって」
    「あ、いえ」
    「はじめまして。須藤 郁です。お噂は予々、マチルダちゃんから」
    「あ、どうも。担当になります、濁沼 蓮です」

     艶やかなハスキーボイスにうっとりしながらも、なんとか社会人らしく振る舞う。が、彼女がスッと顔を寄せてきたので思わず心臓が跳ねた。

    「ね、場所移しません? あの店員さん、あなたに対してちょっと無礼だわ」
     低くそう囁かれただけで、すっかりポウッとなってしまった。言われるがまま、わたしは席を立って彼女について行った。


    「思ってた『オネエ』と違った?」
     可愛らしくクスクスと笑いながら、彼女はわたしの目を覗き込んできた。細い肩が触れて甘やかでスパイシーな香水に鼻腔をくすぐられ、ドギマギしてしまう。

     わたしたちは、彼女の行きつけだという薄暗いバーに場所を移していた。とはいえ、まだ日は高いので目の前にはアイスティ。彼女はシャンパンを飲んでいる。

    「よくテレビで見るような、いかにもな『オネエ』を想像してたんじゃない?」
    「あ、いえ、そんなことは……」
    「ふふっ…そんな困った顔しないでよ。冗談よ」

     ヒールを履いた彼女はわたしより背が高く、ゆったりと泳ぐ錦鯉のように歩く姿に、道ゆく人が皆振り返った。中には横断歩道で足を止めるものもいたが、信号待ちの運転手もまた彼女に見惚れていたのでクラクションひとつ鳴らなかったものだ。
     だがこうして並んで座ってみると、華奢な女性にしか見えない。彼女の言うような、バラエティ番組などでみる逞しいオネエの方達とは全く違っている。強いていえば、手の甲に僅かに男性っぽさが見えるかも……といった程度だ。

    「私たちの業界にもいろいろあってね……そりゃ、嫌なこともたくさん。でも、私は負けたりしない。自分の道を貫くわ。年齢的にダンサーの道は趣味に留めるけど、トレーナーとして独り立ちするの」

     彼女は立ち昇る泡に逆らうように、シャンパングラスをゆっくりと指先で撫で下ろした。

    「銀行融資は断られちゃったけど、マチルダちゃんにいいところを紹介してもらえて感謝してる。それに」

     カウンターに置いたわたしの手の下に、彼女の細い指がするりと潜り込む。

    「……あなたにも出会えた」

     汗ばむ手の中に、彼女の冷たい手がすっぽりと収まり、細い小指が絡められた。美しく彩られた小指の爪が、わたしの人差し指をそっと引っ掻く。衝動的に手を握り締めそうになったが、なんとか堪えた。が、わたしの我慢は限界を迎えつつあった。

     彼女の頭がわたしの肩に乗せられ、首筋に息がかかる。

    「ねえ、蓮くん。融資の増額の件、お願いできるわね?」
    「はい! おまかせください!」


     社に戻ったわたしは、頭を上げられずにいた。関川さんの目の奥にメラメラと燃え盛る悪魔の炎を直視できないからだ。

    「『機嫌を損ねないように』とは言いましたがね……気に入られすぎたうえに、丸め込まれてどうするんですかっ」
    「す、すみませんっ……だって、まさか男の人にあんなにグラッとくるとは」
    「だから、先入観は目を曇らせると言ったんです!」

     視界の隅で、町井さんと八宇さんがニヤニヤと首を振っているのが見えた。

    🍻
  • あかん、オネエ作品はどんどん良いのが集まってきよる。
  •  🍻

    感想も書かせていただきます。オネエキャラは、書くのも読むのも楽しいですね。

    🚩関川さま
    関川回収人、カレーの威力にキャラ崩壊してますね(笑)
    材料だけ見れば「丸鶏と夏野菜のカレー」なのかもしれませんが、この破壊力。お腹壊さなかったか心配です。回収どころじゃないわ……

    📞 📞 📞久里 琳 さま
    オネエの方々のネーミングセンスって、独特で面白いですよね! ビバ☆リンさんも素敵☆ ビバ姐はお友達のためにお金を借りたのですね。いい人だ〜♡
    出っぱなしさまのネーミング企画にもサラッと乗ってるあたり、お見事です!

    🐤小烏 つむぎ さま
    数馬さん、健気で優しいお方ですねぇ。自分は置いといて、周りの子をまず思いやる……こういう人こそ報われて欲しいもの。狐太さんの気持ち、よくわかります。
    (でも、「ウン」の回収って、ちょっと笑っちゃいました)


    出っぱなしさまのネーミング企画、考えたけど何も思いつきませんでした……
  • 関川さま、まだ関西弁抜けてない(笑)
  • 🐤小烏 つむぎさん

    相変わらずうまいなぁ、人情噺でありつつ、なんとなく斬新なものになったような。江戸時代にもオネェキャラクターいたんですね。まぁそういうものですよね。
    とにかくいい奴!ってのが伝わりました。

    🍻霧野さん

    オネェキャラクター、ひとり強烈な人がいますからね。それとはまた趣向を変えたオネェがまたいいですね。どんだけオネェの引き出し持ってるんでしょう?
    というか癖のあるキャラクター書かせたら、いいパンチを放ってくるなと。
    丸め込まれる落ちにも納得です。
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