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男は辛いよ(切実編)

 先日あった怖い話です。
 趣味によるご縁で日本中に通話友達がいる私。その日は複数の男女でわいわいと通話していました。男性達は極めて紳士的です。何せ女性陣の性格が皆強い!(笑)下手に下品な振る舞いでもしようものなら女性達によって心を折られてしまうことでしょう。そういうわけで例えば女性達の「恋人欲しい」に対してもお互いに牽制混じりの「わかる〜」を男達は返すだけです。
 楽しい話をしている間に夜は更けていき、女性達が1人、また1人、と通話から離脱していきます。そうして通話にいる女性が私のみとなりました。私は男としてカウントされてしまっていたのか、はたまた、私の存在を忘れていたのか。急に雰囲気が変わったのを感じます。そう、通話は男子会へと突入。女性達の前では言えないことを口にすることが容易に想像できました。こうなってくると私も少しドキドキします。ライトノベルのようにどの子が好き、またはこういうフェチがあってさ、なんて言うのだろうか。わくわく。息を押し殺します。さながら私はスパイ。1人の男性が口を開きます。

「この歳になるとさーー」

 この歳、そう、20代後半から30代にかけて。素晴らしい、こういうのを聞きたかったんです。そう、就職し、人によっては結婚する年齢。ごくりと唾を飲み込みます。

「ーー考えさせられるよね、抜け毛」

 わかるぅ、と通話から男性達の声がしました。枕元に髪が落ちてると怖い、つい育毛剤調べてた……。私はいてはいけない気がしてそっと通話から離脱。男性達に少し優しくしようと思った夜でした。

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