新作SF小説『光るクジラは水の歌を歌う』あとがき

宇宙に水の歌が響き渡る時、進化したヒトの運命は大きく変わる
『光るクジラは水の歌を歌う』
https://kakuyomu.jp/works/16817330653680407249


<あとがき>
2010年、バイオテクノロジー研究者ジョン・クレイグ・ベンターの研究チームは細菌のDNAの合成に成功し、そのゲノムには46人のプロジェクト研究者の名前と、J・ロバート・オッペンハイマーの言葉、ジェイムズジョイスの詩、謎解きのような秘密のメッセージコードが書き込まれた。
─『ジェネシス・マシン 合成生物学が開く人類第二の創世記』(日経ナショナルジオグラフィック)より引用

ゲノムに歌を書き込む。
なんと美しいのだろうと感動しました。生物がその命を子孫へ受け継ぐ時、歌も受け継がれるのです。
とても文学的で想像力を掻き立てられるニュースでした。 

人の進化をよく小説のテーマにします。
人が進化するとしたら、それは自分のためです。
人はどのように自らを変え、どのような運命をたどるのか考えます。
クジラが好きです。
生まれ変わったらクジラになりたいです。
きっと、人が海を消したとしてもクジラは受け入れてくれてしまうんでしょう。
この小説を書いたすぐ後に、大阪湾でマッコウクジラが死にました。そのすぐ後に宮城県でもクジラの死骸が浜に打ち上げられました。
海で何が起きているんだろうと考えます。
私たちは何を考えるべきなのだろうと考えます。

小説の中で、人は水と他の生物を必要としないものに進化しています。
現在の私たちも同じようなものです。私たちは水や食料を必要としていはいますが、水を飲む時、何かを食べるとき、ただ歩いて呼吸している時、いつも自然、水や植物、動物たちが私たちを生かしてくれているのにそれを気にもとめません。
生まれた時から人の手による環境破壊について学んでいるのに、大人になってからやることといえばただ他者を糧とすることだけです。
真っ二つに分かれた、人の進化を書きました。他の生物たちと一緒に生きていくことを選んだ人たちと、人だけが生きる道を選んだ人たち。

多くの人が読んでくれることを願っています。

雨柳ヰヲ

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