もうタイトルも忘れてしまったとあるラノベで、とあるテキストが今も心に残っています。ひょっとしたら本当は少し違う表現だったのかも知れないし、これもまた別の何かモトネタがあるのかも知れませんが、それでも心に残っているのです。
「生きている人が死んだ人のためにできることは、たったふたつしかありません。忘れないこと、そして、幸福になることです」
今回のカクヨムコンほど、私たちが生きている意味を、そして書く意味を考えざるをえなかった大会はなかったと思います。
あなたが、そして私が産み出したものを、くだらないと貶す人はいるでしょう。ときには自分でもそう思うかも知れません。その意欲の足どりは重くふらつき、誰も見てないのだからもう止めてしまおうか、何のために書いてるんだ、と、そんなふうに思うこともあるかも知れません。
この世界に未来なんかない。こんなものAIにだって書ける。たとえ成功したとしても、尊敬してたはずの人たちに嘲りの意味をこめて「原作者」と呼ばれ、大切な作品は彼らに切り裂かれるのだ。めでたいはずの正月にあっけなく死ぬような理不尽が、現実というものなのだ。
そんなふうに思うことさえ、あるかも知れません。
それでも。
あなたは、そして私は、それでも挑戦した。その命の輝きは、確かにそこにあるのです。
たとえ期待した結果がそこになくても、作品のタイトルも作者の名前も覚えてもらえなくても、産み出された輝きの欠片は誰かの心の中に、いつまでも残るかも知れない。
理不尽に死にゆく誰かの命を、支えるかも知れない。
だからまた、あなたに、そして私に、また挑戦してほしいと励ましたいのです。
あなたの命をカクために、誰かの命をヨムために。
あなたに、再び命の輝きあれ!