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新年のご挨拶と何もしないということ

皆さま、あけましておめでとうございます。
気が付けば三が日も終わってしまい、今更感が大きいですが明日葉いおでございます。
昨年は9月ごろからほぼ動いていませんでしたが、出戻ってまいりました。
言い訳やら諸々は次の近況ノートにてさせてください。

新年が始まって間もない災害により多くの方が心身ともに痛ましい想いをしている中で私の胸中を吐露するのは厚かましい行為と思いますが、吐き出させてください。

1月1日の16時10分に石川県の能登半島を震源とした地震がありました。
私がそのことを知ったのは一時間後の17時ごろのことです。
何気なくXを開いたら、石川県で震度7の地震。
現在は関東に住んでいますが、私の実家は石川の隣の富山です。
地元には年に一回お盆に帰る程度で現在つながりはほぼありませんが、血の気が引きました。
富山は震度5強。人が死に得る震度です。
実家の状況が気になり、連絡を取ることを考えましたが、私は何もしませんでした。
Youtubeでライブ配信しているニュースやXで情報収集することはしましたが、自分から何かを発信することはしませんでした。
私に出来ることは何もしないことしかありませんでした。

話は少し変わりますが、大学時代に私は通信を専攻していました。
そうして驚いたのは、一般の方々が携帯電話の通信の仕組みを全然知らないということです。
皮膚科に行ったとき、先生と世間話で携帯電話の話題になりました。聞いてみると、携帯は衛星を仲介して通信していると考えていたとのこと。
医者という知識人にさえも基本的な通信のしくみが浸透していないのかと愕然としました。
携帯電話は基地局との間は無線で通信して、基地局から先(インターネットであったり、他の基地局だったり)は有線でやり取りをしています。
基地局は意外と身近にあるもので。街中や住宅街であれば、少なくとも200メートル半径に1本はあります。
画像検索していただくと白い筒が3本ついた棒が出てくると思いますが、それが基地局のアンテナです。
意識してビルの屋上を見ると、色んな所に基地局があって、毎日の景色が少し変わるのでおすすめです。
設置場所としては高くて立派なビルの屋上が多いです。
高いところの方が電波が良く届くからというのも理由の一つですが、もう一つ大きな理由があります。
予備電源です。
停電した時も通信が途切れないよう、基地局には予備の電源を備え付ける必要があります。
その電源が重く、下手な場所に設置すると床が抜けてしまいます。だから立派な建物である必要があるのです。

だらだらと講釈を垂れましたが、何が言いたかったのかというと、携帯電話は無線で通信しているように見えますが、それは基地局までの短い距離だけで、そこから先の大半は有線で通信しているのです。
そのため、基地局からのびるケーブルがぶっつりと切れてしまうと、通信が出来なくなってしまいます。
大規模な災害があった場合、対策をしているとはいえどうしてもケーブルは切れてしまいます。
そうなると、通信は生き残ったケーブルだけで行う必要があるのですが、やりとりできる通信量は減ります。
無事なところにいる我々が被災地の情報を得るために貴重な通信量を使ってしまうと、その分だけ被災地の方々が必要な情報を得ることができなくなってしまいます。
というわけで。我々が出来る最善の行動は何もしないということなのです。
困っていたり不安だったりしたら通話して欲しいけど。
余裕ができれば無事を知らせてくれれば嬉しいけど。
だけど、アクションの起こりは被災地側でなければいけないのです。
我々の不安を慰めるために、無事なところにいる者が貴重なリソースを使ってはいけないのです。

行動しないというのは意外と難しく苦しいもので。
理屈では何もしないことがベストだと分かっていても、その理屈自体が行動しないことへの言い訳のように思えてきます。
何かしたという事実は慰めになります。
ですが、それは自分のためでしかなく、相手にはなんら利にはなりません。
時として何もしないというのは最善の行動となるのです。

まあ、何もしないでいられたのも、無事であれば何らかの連絡をよこすだろうと信頼していたからですが。
内陸の方だから、津波は大丈夫だろうと思っていたのもあります。
結局、連絡があったのは翌日の16時ごろ。
親戚で集まって寿司食ってる写真が送られてきました。

……お前ら。
無事ならとっとと連絡しろ。
雪降って10センチ積もった程度で写真送ってくるなら、震度5くらい揺れたら、「すごい揺れた」くらい送れ。頼むから。
県庁勤めだから駆り出されているのかもしれないとか、そんな連絡もできないくらい大変なことになっているだとか、余計な心配して損した。
色々言いたい事はありましたが、なんか負けたような気がするので、既読だけつけて何も送りませんでした。

2件のコメント

  • お身内、ご無事であったこと、安堵いたしました。
    ご心配されたことでしょうけれど、最後のやりとりがなんだかほっとして、ちょっと涙の出る思いでした。
    震度5は、わたしも直撃で受けた経験があります。
    あの時は、これはだめかも、とちょっと思ってしまいました。
    ほんとうに、なにもなくて、良かったです。
  • 壱単位さん
    ありがとうございます。
    無事で本当によかったです。
    震度5はやばいですよね。私も受けた経験がありますが、1週間ほど照明を消すことが出来ませんでした。
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