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『余命半年の浦越さんが三年峠で転びかけている』大反省会&あたらよ文学賞一次選考落選敗戦の弁

https://kakuyomu.jp/works/16817330662156157413 の反省会会場です。
本編も読んで欲しいので読んでください。








読んでくれました? ありがとうね。じゃあ、始めましょうか。
今回は第一回あたらよ文学賞という短編小説賞に向けて書いたものです。詳細は各自調べていただくとして、テーマは『夜』、ジャンルは小説なら不問、上限15,000字、がざっくりとしたレギュレーション。(集まった作品の出来次第であると前置きしているものの)受賞作品には文学的な作品を志向しているとのことで私の作風とは合いませんが、選考委員にラノベやキャラ文の作家の方が多く、更に一次選考作品には選評が付くとのことで、それを目当てに提出しました。まあ全く歯が立たなかったわけですが。

今回の目的はその選評ともう一つ、自分なりに考えた新しい短編の型の練習です。今年の三月末頃、普段から大変お世話になっている方と色々話して、やはり自分の短編は詰め込み過ぎだという反省を強くしました。そのお話を受け、意識したことは四つ。一、シーンは少なく。二、アイデア(やりたいこと)も少なく。三、キャラも少なく。四、お話の展開は四回捻るか、一回で抑えるかの両極端。
以上を考慮した結果、以下のスタイルを考案しました。

・字数:10,000~20,000
・シーン最大上限:2
・メインキャラクター:2
・進行:三人称の会話劇
・舞台:現代日本

シーンは事件とその結果のみで、文量比の目安は2:1。メインキャラはラブコメができる最低限度。自分の能力を最大限発揮できる会話劇、説明を極限まで省ける現代日本を舞台として設定。一回捻りでも四回捻りでも展開できるが、とにかくシンプルでわかりやすくせざるを得ない構造。
これを祖型となる作品『壁尻・ザ・ファイヤー』から名を取って『壁尻スタイル』と命名。以降数回試行を繰り返してブラッシュアップし、世俗的な評価を得ることを目指す……というのがこれからしばらくの方針です。

作品の外についてはこれぐらいにして、そろそろ中に入っていきましょう。
今作でやりたかったことは「余命系のお話を死ぬほどコケにした~い!!」でした。
余命系って言って伝わるかな。あのほら、『鬱屈して冴えない毎日を送るボクが、余命僅かなヒロインとの儚く美しい交流を通し、命の大切さとか生きる意味を見出して再起する』的な奴ね。場合によっては死ぬのはボクの方だったりする奴。私が子どもの頃から流行っていたし、最近もそういう本がポンポン出ているので、これはいかんな、と。あんな惰弱なものを好むオタク君達は懲らしめてあげなあかんな、と。自分の生を直視できず他人の死を啜る濁った眼の連中にですね、渇を入れる為に筆を執ったわけですよ、こっちは(笑)
……何だ君は! 私は救国の志士だぞ、そんな目で見るのは止めなさい!

ま、そんなわけで意気揚々と作り始めたわけですが、ぐっちゃぐっちゃに苦しみました。六月の頭には本腰入れて取り掛かっていたんですが、もう書けなくて書けなくて。提出期限(7/31 23:59)の二十五分前ぐらいに書き終わって、見直してたら十分切るか切らないかぐらいだったので泡食って出した始末。悪夢だった、もう書けなくて書けなくて。気力で負けていた。Wordに立ち向かうことが怖かった。しかも制作最終週はメガ下痢とか久々に体調不良も起きて七転八倒。本当大変でした。





で、そんな状況でも頑張ったのに結果はこの様。私もうボロボロですが、反省はしなければ。
というわけでね、いつもなら皆様からご意見・ご指摘を募るこの大反省会ですが、今回は事前にReddit(アメリカの2ch)で聞いてきました。はいそれでは、今回落選してしまった理由について、海外の反応と私からの応答を以下に連ねていきます。


・電波過ぎ(48歳 男性 マイアミ)

―ご意見ありがとうございます。本作は論理的な整合性よりイメージの飛躍を楽しんでもらうつもりで製作いたしましたので、ご期待に沿えず残念です。

・やりたいことと主題の『夜』とが噛み合ってないね(27歳 男性 ダラス)

―ご意見ありがとうございます。果たしてそうでしょうか。四という数字に夜と死を重ねることで、悩めるヒロインの精神世界を表現し、夜という時間の持つ恐ろしさを書くことができたと私は思っています。

・『三年とうげ』でインパクトを出したかったんだろうけど、オリジナリティを最初から放棄したみみっちい創作だ。しかも出オチの後は手に余って、無思慮に日本神話と接続させるなんて無様で見るに堪えなかったぜ (48歳 男性 マイアミ)

―ご意見ありがとうございます。見当違いのお考えに思われます。独創性は意外なモチーフの組み合わせから生まれるものです。それに、三年峠の物語と黄泉の国の周りの神話は生と死の狭間を行き来するという点で通底しており、朝鮮と二本、二つの民族性を横断したアジア的な強靭さを作品に与えたと考えます。

・問題は電波とかテーマとか独創性とか以前で、何が面白い作品なのかわからないところだ。前半のコメディパートは勢いで取り繕っただけで笑うには決め手に欠く。後半の峠の真相と二人の関係や、それぞれの抱える事情が解明されるパートもただ情報を提示するだけでドラマに乏しい。終盤は何か意味があるんだろうが、説明の仕方がヘタクソで結局二人に何が起こったかわからないまま終わる。それぞれのパートがそれぞれ上手くいってないか、魅力が無くて、結局何を楽しむ作品なのか戸惑ううちに読み終わってしまった。信じ難いことに、この作品は――死という絶対的な事実を曖昧にしてしまうことにより――余命系という最低限のジャンル性すら取りこぼしているのだ。いや、作者は思わせぶりな引用や会話の行間に漂う雰囲気を楽しんでもらえばいいと思っているのかもしれないが、しかし、その為に必要な技量が伴っていない。読者には作品の面白さを想像する為の努力を過剰に求めるが、自分は少しの想像力も努力も費やしていない。彼(作者)は怠惰だ (22歳 未記入 エルパソ)

―貴様、そこへ直れ!! この青二才の唐変木が!!! 素っ首叩っ切ったるわい!!!!! 俺の作品は全部面白いだろうが! 前半爆笑ギャグ百連発だし、後半もハラハラして目が離せないし、終盤だって幻想的で素敵だ!!! なぜそれがわからんのだ、貴様ら愚物は、揃いも揃って!

・意見を募ると言いながらさっきから反論ばかりだ。どうやら貴方は反省すると殊勝なことを言いながら、本当は別のものを求めていたらしい。しかし、慰めや肯定の言葉を貰う為にはそれに相応しい謙虚で誠実な態度が必要なことをご存知かな? 老婆心で申し上げますが、余命系をコケにするなんて不誠実な動機で生や死なんて扱い切れない問題を抱え込むから、評価に値しない作品を世に出してしまうんですよ。これからはお気を付けくださいね (48歳 男性 マイアミ)

―バカ野郎、そんなわけ無いだろ! なんでわかんねえのかなあ、コケにするってのは方便だよ方便! 余命系っていうデカいジャンルをひっくり返してさあ、生きるとか死ぬとかどうでもいいところに行く子ども達が二人ぐらい居たっていいじゃないか。生きるか死ぬかなんて余命宣告されなくても、俺なんて毎日悩んでるんだから。生きるか死ぬかなんてこっちは飽き飽きしてるんだから。そんなに飽き飽きしているのにあんなに恐ろしい夜を、何度過ごしてきたことか。あんなに飽き飽きしていたのに、四の後に五が来なかった人達を見送ってどれほど悲しかったろうか。だから、その恐ろしさや悲しさを出し抜いた人間をさ、俺一人ぐらい、書いたっていいだろがい!!! 腕が足んなかろうが、何書いてるかわかんなかろうが、こっちは本気で書いてたんだぞ!! それを、おい!! おい、聞いてるのかマイアミ48歳男性!!!! オウコラ!!!!

・や、や、何か色々考えて書いてたみたいだけど。そういうの全部、誰にも、伝わってないからね(笑)(48歳 男性 マイアミ)

―バ、な、この、な、何をお前、ウッ!! キレ過ぎて頭が……







……?

あれ、いつの間にか真っ暗?

俺、何でパソコンの前でボッとしてたんだろう。
あれ、もう、こんな時間か。
明日も仕事あるし、もう寝なきゃ……。





はい、ということで、以下は恒例のキャラへの反省です。

浦越さん
奇妙に生命力のある感じにしたかったので強そうな描写をしました。
が、それで何か効果が生まれたわけではなかった……。

丸茂君
もっと彼の方の葛藤も組み込みたかったです。
字数とテーマの兼ね合い的に難しく、どんな個性にするか答えも出ないまま書いてたら良く喋るガキになっていた。

女の子
闇バイトではないが、採ったものをメルカリに出品して法的に大火傷したことがあるらしい。

諏訪市暗黒吹奏楽団の皆さん
あんな時間にあんな場所で子ども達が残ってたら誰だって心配するよね。





では、今回はこれぐらいにしましょう。
結論としては、『その時出せる全力で書いたが、力及ばず、あたらよ文学賞に落選してしまった』です。返す返すも頑張ったのに報われず、辛くて悔しい思いでいっぱいです。
次はもっと面白い作品を書きましょう。


最後に、本作と反省会を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
何か改善点や疑問点などありましたら、忌憚なくコメント欄やX(旧Twitter)のポスト・DMにでもお書きください。
でも、書かなくてもいいです。
本当は私の作品を読んでくれなくても構いません。

小説を読んで、あまつさえそれについて何か書くことがどれ程大変か、少なくとも私はいつも凄く大変で苦労しています。私事ながら、本作の制作期間中に身内が一人、仕事で深くお世話になっていた人が一人、亡くなりました。どちらの死もけっこう悲しかったですが、その二人ともに最後、死に顔にさえ、一言も別れを告げることができませんでした。どうかみなさんは、伝えたい言葉を伝えられるような余裕を持って日々をお過ごしください。

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