青丹よしお

本作には「百合」「ガールズラブ」のタグが付されています。 なるほど、違いありません。 ですが本作を読んだ率直な感想を申しますと、本命は別のところにある気がします。 「高校生から二十…続きを読む

一般に、水と油は交わらないものの比喩として使われます。 しかし一定の条件を満たすとそれらは溶けあって一体になります。 それが乳化です。 本作は、そんな夫婦の日常の一コマを切り取っ…続きを読む

本作の怖ろしさは、心霊現象や単純にうす気味わるいできごととは趣きを異にするように思います。 一定の条件を満たせば自分もそうなっていたかもしれないという恐怖を、わたしは本作から感じま…続きを読む

こんな男子がいたらさぞかしモテるだろうなと思いました。
男性よりは女性に、それより何よりいわゆる「両片思い」が好きなひとにオススメしたい作品です。

わたしは本作のタイトルを一目みて、たちまち心を持っていかれました。 いやがおうでも好奇心をそそらされるキャッチコピーも見逃せません。 さて、作品の価値がタイトルやキャッチコピーで…続きを読む

聖なることばにまるで神聖さが感じられないなど、でたらめな感じがたまりせん。
落ちも良かったです。

頑張ってさえいれば必ずすぐに報われるようなきれい事で済む世のなかではないし、今日とてもつらい目に会ったとしても明日がマシになる保証もありません。 しかし、生きていれば案外良いことが…続きを読む

治療が不可能な病をもつ「僕」のためにご家族がネコを買い、「僕」がネコを飼う（もしく飼われる）顛末が、少ない文字数と少ない話数で十二分に描かれています。話しは逸れてしまいますが、「買…続きを読む

このエッセイを読めばひとがものを書く理由が明々白々に分かる、と言えば言いすぎになってしまうでしょう。 しかし、ひとにものを書かせるような普遍的な事柄が存在するのだろうと拝読しつつ感…続きを読む

本作を誰かにつよく薦めるとして、その候補となりそうな層をわたしなりに考えてみました。暫定的な結論として、 ・ガルシア・マルケスの『百年の孤独』が好きなひと ・女性同士の恋愛（ユリ…続きを読む

本作を読み終えて、「ルパン三世 カリオストロの城」で銭形警部が終幕寸前にいう、例の名言をふと思い出しました。 近年、ドロドロしたラブコメディが流行しつつあるように見えますが、この…続きを読む

わたしは先日、おなじ作者の別の作品にレビューコメントを寄せました。作品本位で読むことが多いわたしには滅多にないことですが、思い立ったら居ても立ってもいられず筆を執ったしだいです。 …続きを読む

球団名ひとつとっても作者様の抜群のセンスがひかる、まれに見る傑作でした。

「純愛」なるものに胡散臭さをおぼえるのはわたしだけではないことと思います。ですが、主人公の冬平と「代行人」の水乃の関係性は、「純愛」に実態を与えたらこんななのではないかとさえ思わせ…続きを読む

なかなかにシュールな作品でした。アイデアと、それを正しく形にし得た筆致の勝利だと思います。

当コメント執筆時、第１部が集結し、第２部が始まろうというところです。 キリの良いところまでエタる心配がなく、「ロス」に陥ることも回避できそうで、読みはじめるにはまさに好機と言えるで…続きを読む

古代中国の故事の「胡蝶の夢」ではありませんが、この文章に没入していると、自分が読んでいるものが紀行文なのか任侠物（軍記？）なのかが分からなくなるような異色の作品でした。 パロディー…続きを読む

何かをするのに理由はいらないとしても、なぜほとんど誰にも読まれない小説を書くのかと、物書きなら誰もが一度は考えるのではないでしょうか。現在進行系でそのように思い悩んでおられる方々に…続きを読む

現実は落語のようにうまく行かないようです。

表紙を見ただけで、これは間違いないと思わされました。読んでみると、やはりその期待を裏切らない珠玉の短編でした。 わたしは小説を書かない人間ですが、もし小説を書くとすれば、本作は間…続きを読む

料理はひとりで食べるよりも、誰かと一緒に食べると美味しく感じるものだと聞きます。本作は、洗練された筆致でそれを体現することに成功したようにみえます。 わたしは短編にはめったに★3…続きを読む

『魔法少女まどか☆マギカ』の名は、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 アニメ史に残るような傑作と聞くものの、わたしは不精にしていまだに観ていません。 ですが本ラブ…続きを読む

タイトルに食指が動いて本作のページを開きました。 昨今スーパーのパンコーナーの棚をながめると、メロン果汁入りのものやチョコチップ入りのものなど、メロンパンにもさまざま見られます。…続きを読む

この作品、三国志（演義）好きにはたまらないのではないかと思います。 水滸伝については読んだことがなくて残念ながら何も言えません。 一方で、それとは矛盾することを言うようですが、音に…続きを読む

幸福とは抽象的なものである。そのような抽象的なものごとに迫るきっかけを与えることは、小説などの物語の得意分野にちがいない。本作を読みながらそんなことを思った。

本作は科学的（サイエンティフィック）な虚構（フィクション）でありすこし不思議な話しなのだが、鏡のように世相を反映しているとわたしは思う。本作を読みはじめた当初、まるで今という時代を…続きを読む

物語を文章にすることと、ひとの目に魅力的な小説を書くことには天と地ほどの差があることが、氏が観てきたアニメへの考察なども通して明確に見て取れた。 自作が読まれない、読まれても評価さ…続きを読む

人生についてあれやこれやと語られているが、私は「酒」と題された一編に就中魅力を感じた。

個人的には、37話あたり――さる新規の登場人物が参入する前後――から特に盛り上がりを見せたように感じた。

言葉が怒濤のように押し寄せてくる。独創的だと思う。

多くの人々のさまざまな思いがうねりとなって進行するような、壮大な物語であった。

ネコを利用して発電するというアイデアの奇抜さもそうだが、人間味あるキャラクターたちも魅力的であった（個人的には岩沫係長が好きだった）。

中島敦の「和歌でない歌」へのオマージュとして編まれたというこの歌集。現代短歌の主流とは一線を画する歌風と見える。

案外、こんなところに短歌の未来がありはしないかと思う。

何とはなしに、森見登美彦などが好きな人に評価されそうだと思った。
笑わせてもらった。

2,000字程度だろうか。神話のような、完成された世界観が魅力的である。
最近の作者の作品の中では出色の出来と思った。

世界の大国ランキングを、軍事力や経済力といった指標を加味しつつ作者が独断で決めていく作品である。

予めランキングの何位がどの国かを予想して読み進めるとスリリングで楽しそうである。

連載の1話目なので現在（2019年7月29日）は星の数を少なくしている。

標題のフレーズだが、実に至言というべきではなかろうか。作者からはとても頭のよさそうな印象を受ける。

人を喰ったようなところはクセになりそうである。

今までに読んだ和風ファンタジーやあやかしものの中では特に好みであったために、短めの作品だが心に残った。タイトルが簡潔である点からして良いと思う。

こちらもうまいことを言いたくなるタイプの楽しい話だと思った。

誰しも、この世に自分の知らない語の多々あることを痛感するのではなかろうか。

この作品を読めば、趣味嗜好が人それぞれであることが自然に諒解されるのではないか。