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読書メモ51

『かがみの孤城』辻村 深月(ポプラ社)

気になってはいたものの、なんとなく手を出さずにいた本。
児童文庫に移植されてるのを見かけて(この冬アニメ映画化されるからなんだね、と後から納得)子ども向けな内容なのかーと流れで(オリジナルの一般向け単行本の方を)貸し出し順番待ちの予約しちゃったのでようやく読みました。

不登校の女の子が主人公、なるほどYAっぽい、けどどーだろ子どもが読むには少し……と思ったら王道の日帰りファンタジーな気配……いやでもオンナノコ同士のいざこざがリアル、これはYAのリアルさ……と思ったらラノベっぽい展開!? え、違うと思うけど、先が読めちゃうんですけど、このあたりは子ども向け!?

なんて、どういう読み方をすればいいのかイマイチわからず、カテゴリやジャンル横断できる作品の短所がこれかなあと気づき、万人受けといえば聞こえは良いのですが、いえ、万人受けこそ正義なので良いと思いますけど。

というわけで、お話がぐぐっと盛り上がる中盤から、えーなんで気付かないの? 違うと思うけど……どきどき、みたいな、読者は展開が読めてしまうのだけど、そんな読者の予想を裏切らないからこその面白さもあるわけで(読めているからこそ答え合わせをしたい欲求もあるわけで)。このお話はそちらの方で、だから読後感がよく人気なのかなーなんて思いました。



『子供が王様』デルフィーヌ ド ヴィガン∥著 河村 真紀子∥訳(東京創元社)2022/08

少女時代にリアリティ番組のスターに憧れ、そうなりたいと願いyou tubeで子どもの動画を投稿する母親。キッズインフルエンサーとなった娘が行方不明になり……というサスペンス風な物語。けど、話の筋よりもSNS社会のリアルさの方で読ませられちゃう。
承認欲求を拗らせて毒親化しているヒロインにはまったく共感できなくて(だからもうひとりの主人公クララの存在がありがい)ほとんど怖いもの見たさで一気読みでした。

事件の真相はあっさりしたもので、へんな言い方だけど良かったね~って言えるもので(ちょっちネタバレですが…………………………犯人にいちばん共感できます)十二年後の結末も満足のいくラストなのだけど、読後、ほんとにいろんなことを考えさせられますね、これは。
もっと話題になっていい本だと思いました。



『帰りたい』カミーラシャムジー∥著 金原 瑞人∥訳 安納 令奈∥訳(白水社)2022/07

イギリスで暮らすムスリム家族たちの物語。ジハード戦士を父に持つ三姉妹弟の家庭とかたや父親が内務大臣の地位にある家庭と。
社会の最小単位は家族であって、家庭で起きることは社会の問題でありまた逆でもあって、そこに情愛が絡むからめんどくさいのだなーなんて思ったりもしました。

章ごとに視点人物が変わっていくので、フラットに読むのが正解なのでしょうが、私はイスマに肩入れしちゃったんで、男どもがアニーカアニーカうっせぇわ、美人だからか、若くて美人だからなのか、なんてやさぐれた気分になりました。
ISに参加してしまった弟を帰国させようとする双子の姉アニーカが台風の目となっていくのですが私はアニーカに魅力を感じず、エイモンなんかクズだと思ったし、だから衝撃のラストと絶賛される結末もあまり……。衝撃というより拍子抜け、の方が近かったです。感想はひとそれぞれですねー。

とまあ、お話の筋はともかくムスリム移民をとりまく英国社会の現実、イスラム国の若者の現実は読みごたえがありました。

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