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3分で読める小噺(こばなし) 男たちの休日【李夜伝】

皇宮。
季沖(きちゅう)「お三方、今度の休息日に太師(たいし)から花見のおさそいがきました。参加されますよね」
丞相頌雅(じょうしょうしょうが)「すみません。その日私は大事な用事が……」
季「そうですか(丞相のことだ。きっと国政にかかわる大事な用にちがいない)」
廷尉通閔(ていいつうびん)「おほん。私もその日は秘密裏の仕事をしに郊外まで足を運ぶのだ」
季「(廷尉も?いや、秘密裏の仕事というからには、重大な犯罪人をさがしているのやも)」
李遠(りえん)「俺もその日はいそがしい。どうしても必要な書き物をせねばならぬ。丸一日時間が必要だ」
季「(隊長が必要な書き物?故国の部族に国での生活を報告するのか?へたをすると国どうしの関係にまで影響がでる。丸一日必要なのも当然だ)……わかりました。みなさま、どうか死力をつくしてください!この季沖、ご健闘をいのります」
三人「?」
 
都。庭園。
梅や桃の花。
太師「季沖どの。若い方できてくれたのはあなただけだ。休息日ですし、どうかそんなにかしこまらずたのしんでくださりませ」
季「いえ。私だけたのしむわけにはまいりません。休息日でもみな国のために死力をつくしています」
太「……?おや、見てごらんなさい。風がふき梅の花がうすべにの雪のようですよ。ほほほ。一つ詩文ができました。季沖どのも詩をお作りなさい」
季「……」
 
竹林。
丞相頌雅「太師のあつまりなどつかれるだけです。休息日くらいは人とのかかわりをたち、瞑想し、心おだやかでいるべきだ」
 
郊外。廷尉通閔の別荘の風呂場。
廷尉通閔「休息日くらいはねんいりに身体を清潔にせねばメンツがたたん。髪のくさい高官などいるものか。……ふう。そのほう、湯をもっとあつくせい」
家来「ははあ」
 
都の李遠のやしき。
李遠「……大河は昼夜問わず流れ、旅人の心にはかなしみがつきない……。うむ、われながら詩文としてよい情景だ。盧人風の詩文は孤独に文をねってこそしあがる。今日はよい日だった。さて、大河が地上にあれば、天にも天の河があるとよいな。中洲は夜の玄い闇にしずむのがよい。……ん?夜と玄、か。ふ。あの娘、次に会ったときはどんな目で俺を見てくれるのだ?たのしみだ」


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本編は重めですがキャラたちの本来の姿はこんな感じです。
↓↓↓
李夜伝
https://kakuyomu.jp/works/16816927859770189332/episodes/16816927859770233617


ちなみにこの作品のメインヒーローは李遠です。
ヒロイン夜糸への、のちのデレ方がすさまじいので必見です。

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