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  • とてもうっとりするお話でした。

    文章の漢字とひらがなのバランスが綺麗で、言葉の選び方も美しいです。
    たとえば「病的なまでに健全な白さ」は、精霊の優しさを固めたような白い〈手〉を、「ほたほたと涙が落ちて」は、淡く光りながらスローモーションで落ちる涙を、私の脳内スクリーンに映します。
    「手」でもなく、『手』でもなく、〈手〉という表現が本当にピッタリです。

    このお話は人によって色々な受け取り方があると思いますが、
    私は、事故の電車に乗っていた二人の魂が芸術家として近いものだったので強い共鳴が起こり、〈手〉は天国に行く前のピアニストで、主人公を助けに来たのだと思いました。

    〈手〉は手のひらで主人公の周囲の情報を集め、
    頭をよしよしして寄り添い、
    主人公が絵を描けるようになるのを助けました。

    〈手〉は本当はずっとそのままで一緒に居たかったけれど、
    何かの事情で消えなくてはいけませんでした。
    (すみません、その事情が私には免疫抑制剤しか思いつきませんでした)

    〈手〉は「精霊としての自分はもう消えてもいい」と思って、
    主人公の左手の中に入りました。
    帰宅中しか会えないより、一日中一緒にいられるハッピーエンドだと思いました!

    (医師との会話のシーンと比較して、〈手〉と主人公のシーンは、
    明晰夢を見ているような、とろとろの空気感があります。
    本当は主人公が退院してマンションまで戻ってくるまで、
    病院のベッドで見ていた夢じゃないかな……とも思いました。
    でも私は「目の前に手首が現れても、とっても綺麗だったらいいじゃないか!」という人間ですので、この感想にしますね。)

    「手だけで動くものとの交流」の小説もいくつか読んだことがありますが、
    それは人間が支配する愛玩対象としての「手だけで動くもの」でした。
    精霊のおねえさんのように「手だけで動くもの」が助けてくれるお話は、
    とても優しくて素敵です。

  • 内容がとっても好きだったのは大前提で、作品自体の雰囲気がとても好きでした。
    素敵な作品をありがとうございます。

    作者からの返信

    花束 いと様
    とても嬉しい御言葉を賜りましてありがとうございます。
    ずっと書きたいとおもっていた設定だったので、こうしたかたちにでき、花束様のような御方に読んでいただけたこと、ほんとうに幸せです。
    今後とも素敵な小説を書き続けられるよう、精進を重ねて参ります。

  • 優しくて読後に心が温まるお話でした。
    主人公と《手》は、人の意識が肉体の細部に宿るとしたら、お互いに失った欠損を補完し合える関係で、最初は繋がりのない異物であり、違う意識がぶつかり合い、自らの存在を主張し、それでもいつしか分かり合い寄り添い、ひとつになっていったのだと……。
    ”袖振り合うも多生の縁”という言葉もありますが、別の人生を歩んでいた二人の”縁”は、偶然と言う必然により、お互いを共有し合うという素敵な縁で結ばれたのですね。
    どちらも芸術肌。これから主人公の描く絵には、きっと軽やかで新たな風が吹き込むのでしょうね!

    幻想的で艶やかで優しい世界に浸らせて頂きました。
    ありがとうございます!

    作者からの返信

    磨糠 羽丹王様
    いつも心暖まるご感想を賜りまして御礼申しあげます。
    他人というのは「異物」だな…でも「異物」同士、つまり違うものだけど似たところのあるもの同士でなければ得られない「ふれあい」というものもある、と考えたときにこの物語が産まれました。
    前々から書きたかった「手」だけの情景も描写できて、とても幸せな執筆時間でした。
    結果はわかりませんが、応援にこたえ、また嬉しいご報告ができるように願っています。
    どうか今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

    磨糠さまの旅路に暖かな光がともりますように。

  • 素晴らしい作品でした。
    不思議な手との出会いと同居、ホラーかシュールな絵面になりそうなところが美しい交流になっていました。語られる心情だけでなく手の考えも繊細に表現されていだと思います。
    ラストシーンも印象的ですね。

    作者からの返信

    右中桂示様
    ご感想をお寄せいただきましてありがとうございます。
    「手だけで動くものとの交流」を書いた小説は川端康成様の「片腕」を筆頭に古今東西にあって、幻想小説としては割とポピュラーなものかとおもうのですが、だからこそ今私に書けるものをそそぎこんで円城塔賞に挑戦したいとおもいました。
    ラストはきちんと伝わるかしらと想いながら文字数との戦いを繰り広げました苦笑

  • これは凄い純文学を出してきましたね・・・
    私にはもうあなたが誰なのかよくわからんくなってます。表現の幅が相当にある。
    本当、もの凄く凄い純文学です・・・

    作者からの返信

    きつねのなにかさま
    日頃から応援いただきましてありがとうございます。
    新作、お読みいただけて大変嬉しいです。これまでとは違った書きかたにこれまでと同じ描写を組みあわせてみました。
    身にあまる御言葉、心から御礼申しあげます。レビューも大変励みになりました。なに系でもない夢見里龍であれるように今後とも頑張ります。