第4話:姿

その日を境に、

 遥は姿を見せなくなった。


 部屋は荒れていない。

 争った形跡もない。


 ただ、

 スマートフォンだけが残されていた。


 画面は、

 ロックされていない。


 通知は一件。


 > 未送信のメッセージがあります

 > 削除しないでください


 そして、

 その下に小さく。


 > 閲覧者:1



 この通知は、

 特定の端末に紐づかない。


 アカウントにも、

 電話番号にも。


 「読む行為」だけに反応する。


 だから、

 誰の端末に表示されるかは重要ではない。



 ここまで読んで、

 画面を閉じようとした人は、

 一度、考えてほしい。


 この文章は、

 通知ではない。


 だが、

 読む行為は同じだ。



 条件は、

 すでに揃っている。


 あとは――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る