第2話 王権ダンジョン
第二話 王権ダンジョン
「リア!遅いよ……」
「ごめんね……食べ物持ってきたよ……あたしここに来てたのがパパにバレてめちゃくちゃ怒られたの……」
「なんかごめん……」
僕は複雑な気持ちになった……リアは泣きそうな顔して僕を見ていた。
「あのね……ここは昔大規模な魔法が失敗したらしいの……
その残骸が残っていて危ないから誰も近づてはいけないってお父様が……
リアはキョロキョロしながら小声で話し出した……
「実は今日もコッソリ来たの……アルトは危険なの……?」
「僕は危険じゃないよ!!!」
つい大きな声を出してしまった……
「ごめん……」
「そうよね……アルトが危険な訳ないもん」
「そうだよ!!むしろリアを助けたい!」
「ふふ……助けてくれるの……?」
リアは嬉しそうだった……
トコトコトコトコ…………
複数人の足音が聞こえてくる……
「リアトール様がこちらへ入って行くところを確認しております……」
「たいへん!!アルト……見つかったら危険かも!!」
「奥に逃げて!!!隠れててね!!」
「絶対に顔を出したら駄目だよ?あたし実はここの王女なの……全然大丈夫なんだから!!だからアルト約束して!」
「ほんと……?分かったよ……リア」
僕は急いで奥の方に行き身を潜めた……
声だけが聞こえる……
姿を現したのは現王であり、リアの父親であるギルトール王である。ギルトールは黄色の髪に青い瞳の整った顔立ちである。王宮親衛隊のエリートと共に地下にやってきたのだ。
「ギルトール王……消えています……赤い魔力の球体が……」
「そんな…………!?どういう事だ!!」
ギルトール王は真っ青になっていた……
「リア!!!!」
大きな声が鳴り響いていた……
「ごめんなさい……パパ……でも……」
「でもじゃない!!!ここに来てはいけないと言わなかったか???」
「パンっ!!!!」
リアがビンタされた音が鳴り響いた……
リアに何をするんだ!!!!
僕は今まで感じた事のない、とんでもない怒りが湧き出ていた……
リア泣きながら震えた声で……
「大丈夫だから……大丈夫だから……」
僕は怒りに任せて顔を出そうとしたが、リアのこの言葉を聞いて踏み止まった……
「何が大丈夫なんだ!!!ここで何してたんだ!!……?」
「お父様、私何も悪いことしてないよ…………赤い渦が綺麗で時々見に来てたの……………」
僕は怒りで膨れ上がった魔力を抑えるので必死だった……う……駄目だ抑えきれない……どうしよう………………
「ブオオオオオ…………!!!!」
怒りの籠ったとんでもない量の赤色の魔力が地下全体を駆け抜けた……
抑えきれなかった…………それは地下が震える程の魔力。
「なっ……なんだ!??????このとんでもない魔力は!?」
ギルトール王はあまりの魔力量に震えていた……護衛兵も驚き腰を抜かす者も……リアは泣き崩れていた……
「王よ!!!ここは一旦離れましょう!!極めて危険です!!!」
「分かっている!!引くぞ!!!」
「はっ!!」
ギルトール王はリアを抱き抱え、すぐにこの場を離れていく……
やってしまった……魔力のコントロールが効かなかった………
「リア………ごめんね……凄く優しくしてくれたのに……」
何よりもリアを怖がらしてしまった事が悲しかった……
「はぁ…………このまま捕まってしまったら、どうなるか分からない……これからどうしよう……」
僕は何となく、このまま奥に進んでみることにした。
地下は暗かったが、ただ闇雲に歩いている訳でない。
首にかけた金の鍵が微かに光る……
「鍵と同じ魔力を奥から感じるな……まるで、僕を呼んでるみたいだ……そんな訳んないのに……」
ズンズン地下を進んでいく……
どこまで行けばいいんだ……?次リアに会ったら謝らないとなぁ……そんな事を考えながら……
入り組んだ地下をひたすら3時間程歩くと青い光が見えてきた。
僕の顔は自然と笑みが溢れた
「お…………光だ!!やった!出られるかも!もう真っ暗な地下とはおさらばだ!!!」
僕は走って光の方へ向かって行く……
到着すると光の正体は青い魔力の壁であり、その上部には王家の紋章が描かれていた。
いわゆる結界である。
「これって入って大丈夫かな?」
試しにその辺の石ころを投げてみた……
「バチッ!!!」
石は弾かれ砕け散った……
「うわぁ……どうしよう……」
これ通れるのかな?ここまで来て引き返すのは流石にキツい……でも体が今みたいになるのは、ごめんだ………
僕は結界の前で座り込み考えた……
戻る?……いや……やっぱり駄目だ……戻ったらどんな目に遭うか分からない……ここを通ろう……
そうだ!!
「魔力を覆えば、もしかしたら通れるかも??」
僕は魔力を覆った状態の手で少し触ってみる事にした。
「ふぅ……よし!いくぞ!!」
ゆっくり指を結界に近づけていき結界に触れると……
「ブゥゥゥゥ……」
「なんだ??」
結界の上部に描かれている王家の紋章が光りだし、指が結界を貫通した……
びっくりした!?上の紋章が光っただけか……驚いたじゃないか!!
それよりも結界を貫通出来た!これならいける!!
「指だけ大丈夫で体は駄目とかないよな?大丈夫だよね?」
全身を魔力で覆った。
「これで、行けるに違いない!!!
よし、行くんだ!!!」
僕は勢いよく結界に突っ込んだ。
すると……
すんなり通る事が出来た……
「なんだ、魔力を覆うだけでよかったんだ!簡単じゃないか!これで前に進めるぞ!!」
中に入ると整備された通路になっており、壁から鍵と同じ紋章が青く光りだした。
「おぉ〜…………」
進んでいくと大きな円形の部屋に辿り着き中心部に金色で装飾されている王家の紋章が入った扉が佇んていた。
その扉は人を惹きつける尊厳なる威光を放っていた……
「間違いない……この扉だ……凄いオーラを感じるぞ……」
扉の中心部に鍵穴があり、僕は鍵を差し込んでみる事にした。
すると……
……黄金の光に包まれ僕は扉の中に吸い込まれていく……
気がつけば僕は部屋の中央部に何も置かれてない豪華な台座、沢山の宝具や財宝、ありとあらゆる武器が乱雑に置いてある大きな部屋にいた。
「ここは……どこだ???」
それにしても、めちゃくちゃ大きな部屋だ……ここに置かれているのは全部宝物なのか……凄い光景だ……
僕はこの景色に圧倒され見惚れていた……
すると……
「ここは王権ダンジョンの宝物庫です。」
「え?うぉおおああああぁあ………!?」
後ろに男の人が立っていた。
びっくりした……変な声出ちゃった……
「驚かせてしまって申し訳ありません。私はこの宝物庫の管理人のセストールです。
人が来るのは300年ぶりでしょうか?嬉しいですね……」
セストールは濃い紫色の髪に金色の瞳をしている涼しい顔をした男だった。
「あなた様のお名前をお聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?」
「アルトです……」
「かしこまりました。早速ですがアルト様、この部屋の全ての中からなんでも一つお選び頂けます。
このダンジョンに入れるのは一度きりです。慎重にお選び下さい。」
「え?貰っていいんですか!?」
「……………………」
何で答えてくれないんだ……
とりあえず選ぼう!どうしよう……どれが良いんだろう……
「触ってもいいんでしょうか?」
「どうぞ……ですが、起動はお気をつけ下さい。
ここの宝具は強力な物が多いですが、使用する際に必要量の2倍の魔力を消費します。
半分は私どもにお支払い頂く必要があるのです。」
「なるほど……」
強力な宝具ほど沢山の魔力が必要になる筈だ……それの2倍……慎重にならないと……
あれから、僕は色々触ってみたが、正直どれが良いのか分からなかった……
ふと、僕は気がつく……
中央部の台座にモヤがかかっていることに……
何だろう……?
じっくり台座を見つめていると、何も無かった台座に金のおしゃぶりが見えてきくる
セストールはニヤリと笑う……
「ほぅ……気づきましたか、早いですね……ちなみに何色に見えますか?」
「金色です」
「金……!?素晴らしい……」
「セストールさん手に取っても良いですか?」
「どうぞ、触ってみて下さい……」
僕は金のおしゃぶりを手に取る。
ドクンッ…… 何だ?
手に取った瞬間分かった。それは、他の宝具とは比べ物ならない程のオーラを放っていた……
「セストール、こやつ素晴らしい魔力じゃ!」
いつの間にか金のおしゃぶりに足を組んでお酒を飲みながら座っている小さなお婆さんが居た。そして僕と目が合う……
「ん?んんん??お前さん、わたしゃが見えとらんか!?」
「はい……あなたは誰ですか??」
驚くセストール……
怖い表情を見せる小さなお婆さん……
「わたしゃはゼーネルお前さんは危険じゃ!!!」
瞬間、ゼーネルは金の魔力を纏い始め、魔法を詠唱し始める……
ちょっ……えっ???
ゼーネルは金の瞳に白髪のツインテールで豪華な衣装を身に纏っていた。
セストールは結界を発動させる。
「アルト様、私が動きを止めている間におしゃぶりを元の位置の戻して下さい!」
僕はすぐにおしゃぶりを元の位置に戻すとゼーネルの姿は消えていた。
今のは何!!!?凄まじいお婆さんだ……
「大変失礼致しました……引き継ぎ宝具をお選び下さい」
「あの……小さなお婆さんは何だったんですか?」
「…………………………」
ちょっ…………無かった事になってない??無かった事になってるよね??
その後も僕は色々な物を手に取ったり、セストールさんに聞いたりしたが、あの金のおしゃぶり程の物は無かった……
「セストールさん、決めました。あれにします!」
僕は勢いよく金のおしゃぶりを指差す
もうおしゃぶりが気になって他の宝具が目につかなくなっていた。
「パチパチパチ……」
セストールは拍手しながらニヤリと笑っていた。
「七人…………」
「何がですか?」
「その、おしゃぶりを選ぶ事が出来たのは、あなたで七人目です。違うお部屋へご案内します。
アルト様、どうぞこちらへ……」
僕は、ある場所へと案内されるのであった……
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