第一章:気弱令嬢、前世を思い出すの巻
①
――なんていう、恐ろしく報われないモノローグを見せられて、ついうっかり叫んでしまった。
(いやダメでしょ諦めたら!! ていうか明らかに浮気じゃんっ)
いくらあっちの身分が上だろうと、諸々の事情があろうと、だ。まだ十代の女の子が、仮にも婚約した相手から日常的にモラハラされまくって、なおかつ耐えるしかないなんて酷すぎる。周りの大人は何やってんだ!
(今すぐ徹底的に証拠集めて!! 家族やら友達やらに頼ったって全然良いし、何ならわたしも協力するから――)
「そんなアホとの婚約、百パーあっちの有責で破棄よ、破棄ッ!! ……あいてっ」
叫んで拳を振り上げた、ら、その手が硬いものに激突した。すぐさま引っ込めたところで、自分が何故か横になっているのに気づく。
「……あれ?」
よっこいしょ、と身を起す。
ふかふかのベッド、周りに垂らされたベルベットのカーテン。その向こうに広がる、ひとつひとつが何万円もするに違いない! という瀟洒な家具が集結した空間。
現代日本だったら映画のセットか、今は博物館になっている旧華族邸くらいでしかお目に掛かれないだろう。
しかし残念ながら、自分には見覚えがある。ありまくりだった。なにせ毎日生活している空間だ。
「…………あぁ~、そうだった、わたし当事者なんだっけ……!!」
他人の事と思っていたモノローグ、思いっきり自分自身のことじゃないか。
あまりにも笑えない状況に、カレンは再びふかふかのベッドへ逆戻りする羽目になった。
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