『熟女市場~三つの頭脳と一つの野望~』

みさき

第一章:ビジネスモデルの確立

三人のアパートの一室は、たちまち作戦本部と化した。壁にはホワイトボードが設置され、市場分析、リスク評価、収益予想がびっしりと書き込まれていった。


「まず認識を一致させよう」勝也がホワイトボードの前に立ち、マーカーを手にした。「我々が扱うのは『熟女』、具体的には三十五歳から五十五歳までの女性だ。インバウンド、特に東南アジアや中東からの富裕層に需要がある。彼らは日本の『大人の女性』の優雅さ、洗練さに価値を見出している」


大地がデータを補足する。「警察の摘発リスクが低いニッチ市場だ。売春防止法はあくまで『客引き』や『管理』を取り締まる。我々が『仲介』に徹し、女性たちが『自発的』に関わっているように見せられれば、グレーゾーンで活動できる」


空知は技術面を担当した。「調達から販売、資金管理まで全て暗号化されたアプリで行う。ブロックチェーン技術を応用して取引記録を分散化し、サーバーも海外のものを利用する。物理的な接点を最小限に抑える」


彼らの戦略は明確だった。高級デリバリーヘルスのような形態を取りながら、よりプライベートで安全性の高いサービスを提供する。顧客は厳選した外国人富裕層のみ。支払いは暗号通貨で行い、資金の流れを隠蔽する。


「最大の課題は調達だ」勝也が言った。「適切な女性を見つけ、懐かせ、離脱させないようにする。強制は一切しない。あくまで『彼女たちの意思』で参加しているように仕向ける」


大地が心理学の本をめくりながら付け加えた。「ターゲットは承認欲求が強く、心に寂しさを抱えた中流~低所得層の女性だ。SNSで頻繁にコーディネートを投稿しているが、フォロワー数は数千~数万で、インフルエンサーと呼ぶほどではない層。彼女たちは『誰かに必要とされたい』という欲求が強い」


空知が開発したアプリのプロトタイプを起動した。「まずはインスタグラムのスクレイピングプログラムでターゲットを抽出する。ハッシュタグや投稿頻度、コメントの内容から孤独度や経済的困窮度をAIが分析する」


こうして、彼らのビジネスは理論から実践段階へと移行していった。最初のターゲット探しが始まる。

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